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平成21年 6月の一般質問

  通告に従って2つの問題について、一般質問を行いたいと思います。よろしくお願い致します。
  平成11年3月の時点で3,232を数えた全国の市町村数は、10年を経た今日では1,776まで減少し、ほぼ半減したということで、国では来年3月の合併特例法の期限に合わせて今回の平成の大合併といわれた合併推進の幕を閉じ、一つのピリオドを打つようであります。地方自治体のあり方を検討している地方制度調査会の専門小委員会も「一区切りとすることが適当」と明記した答申案をまとめ、今月中に麻生首相に答申するとのことであります。また答申案では合併推進の効果として、行政の効率化や財政基盤の強化などを列挙する一方で、合併により市町村の規模が大きくなったことで、「住民の声が届きにくくなった」との課題も挙げています。

  国の主導で取り組まれた平成の大合併は、合併特例債というアメと地方交付税の削減というムチによって協力に推進されてきましたが、本来の目標は半減ということではなく、全国で1,000程度の市町村数にまで推進したかったということではなかったかと思います。現場でのなかなかの抵抗にあい、半減に届かないこの時点で終結宣言を出さざるを得ない、すなわちこれまでと同じ手法で、さらなる市町村の合併を推進していくことにはムリがあるとの判断があって、新たな仕組みの検討が求められる時期に来ているということのようであります。

  我が常総市もこの平成の大合併の中で誕生し、3年半を経過したところであります。この間、トップリーダーである市長が1年ごとに交代するという経過もあり、新市のスタートとしてははなはだ困難な環境であったということであろうと思いますが、国が、進めてきた市町村合併について一つのピリオドを打つようでありますから、当市としてもこの機会に一定の総括をしてみることも必要なことではないかと考えるものであります。

  平成の世となって我が国の経済は、バブルの崩壊とともに大きく失速し、民間における困難な経営環境から税収がのびず、行政の世界においてもより効率的な運営や財政基盤の強化が求められ、こうした課題を実現する1つの方策として、市町村の大合併が推進されたものと思います。地方制度調査会では、これまでの市町村合併の実績によって、一定の行政の効率化や財政基盤の強化が図られたと評価しています。それでは我が常総市は、この行政の効率化や財政基盤の強化という点において、3年半経過の現時点においてどのような評価をしているのかお尋ねしたいと思います。

  一般的にいう行政の効率化という点では、合併前のそれぞれの組織が持っていた総務的な役割の機構などを統廃合し、スリムな機構を構築することがあげられると思います。そして中・長期的には人件費を抑えるための人員削減と個々の職員のスキルアップによって、行政サービスの低下を招くことなくその効率化を図るということではないかと思います。ただ、短期的には直ちに人件費を圧縮することは困難なことであろうと思いますから、現業部門への配置転換などによって、人的サービスの拡大という合併効果があってしかるべきと考えるものであります。

  長谷川市長におかれましては、いまだ就任1年に満たない期間でありますから、合併後の評価を問うことはできませんが、先般実施された機構改革と人事異動によって、新市常総市の一体的な行政機構が構築できたと考えているかお尋ねしたいと思います。また、石下支所建設問題につきましてはさまざまな紆余曲折があって、計画の変更や時期の遅れを招いているところかと思います。先に申し上げました地方制度調査会の合併評価の中で、市町村の規模が大きくなったことで、「住民の声が届きにくくなった」との課題も挙げられています。当市における一体感のあるまちづくりにおいても、石下地区における課題は大きなものがあると思いますが、新石下支所が完成したあかつきには、さらなる本所機能の一部を移転するなどの新たな組織改編を考えているか、あわせてお尋ねするものであります。

  次に質問の2点目、圏央道インターチェンジを取り巻く地域の今後の開発計画についてお尋ねしたいと思います。
  私の地元でもあります三妻地区においては、このところ大きな3つの事業が着々と展開され、地域の利便性が大きく拡大されるものと期待が寄せられています。1つは合併のまちづくり支援事業による美妻橋から国道294号線までの新坂東土浦線、2つ目は三坂地区を横断するつくば下総広域農道、そして3つ目が圏央道とそのインターチェンジの建設であります。

  この地域は単に常総市の中心というばかりではなく、まさに関東平野のど真ん中であり、首都圏50キロという大都市東京を取り巻く大きな環状の1拠点ともいうべき地域であろうかと思います。道路というものはよく人の血管にたとえられ、大きな路線は大動脈と表現されたりします。東に常磐道、西に東北道という2つの高速道路の中間にあり、現在4車線化が進められている国道294号線は、まさに都市と農村、北と南を結ぶ大動脈であり、圏央道とのインターチェンジが建設される地域は、東西・南北の大動脈が交差する大きな可能性を秘めた地域といえるのではないかと考えるものであります。

  この地域の将来方向については、国や県も東京圏との交流拡大等を通じた躍動する都市軸となるよう活力ある産業拠点や、田園空間と都市機能が調和した快適な都市圏の形成という施策の展開方向が示されています。常総市では平成20年度の当初予算において、2款1項総務管理費の中の6目企画費で「物流拠点整備及び企業誘致計画策定委託料」という8百万円の予算を計上いたしました。これはインターチェンジが建設される地域に加え、水海道駅南地域の計画も含まれているようですが、いずれにしましても今後の常総市まちづくりの大きなテーマであることには違いないと考えるところであります。20年度の決算は9月の議会に報告されるものと思いますが、1年以上経過した今日まで、この委託料によって委託した物流拠点整備及び企業誘致計画についての報告がありませんので、その後どうなっているのかお尋ねするものであります。

  1昨年の行政視察において当時建設委員会の所属であった私は、委員の皆さんと共に九州の佐賀県鳥栖市を訪れました。茨城県ではあまりなじみの無い名前ではありますが、鳥栖市とは北九州から鹿児島にと九州を南北に貫く九州自動車道と、大分から長崎にと九州を東西に横断する大分長崎自動車道が交差する、まさに十字架の中心に位置するところにある市であります。この人口6万7千人と常総市とほぼ同じ規模の鳥栖市における都市計画を研修しようと訪れたわけでありますが、その地の利を生かしたまちづくりの見事さに大いに触発されるものがありました。

  東西南北のへそに位置する利点を生かし物流拠点としての役割を荷ない、企業誘致とそこに働く人々の居住環境の確保。学校やショッピングセンターなどの様々なインフラの整備をはかって、総合的なまちづくりの展開を図っているとのことでありました。こうした事業展開の中で、市民税や固定資産税をはじめとする市税が市収入の6割近くを占め、地方交付税は全体の2%程度とほぼ無交付団体に近い財政状況を誇っておりました。

  地方交付税に依存しないという市町村は、法人税等の多額納税者を抱える企業城下町か原発など特殊な施設を持っている市町村に限られているのが実情ではないかと思います。鳥栖市のように総合的な都市計画とその建設によって税収を上げ、地方交付税をあまりいただかなくともやっていけるというのは驚きでありました。もちろんそこには地の利を大きく生かしたという取り組みがあったればこそのことであると考えるところであります。当市は鳥栖市とまではいかなくとも、南北にのびる国道294号線、東西に走る圏央道との交差する地域は、大都市東京を取り巻くという環境が加わって、大きな地の利を生み出しうる可能性を持った地域であるといえるのではないかと思います。

  ただ、今日の経済情勢は、1昨年のアメリカのサブプライムローン問題に端を発した金融恐慌とも言うべき経済の失速が世界を巻き込み、日本も例外ではない状況にあると思います。企業誘致計画どころか既存の工業団地から撤退を余儀なくされ去っていく企業が多くある中で、新規に企業誘致を計画するなどということは、状況認識がずれているのではないかといわれかねない環境となっているように思います。

  また、物流拠点整備といっても単に倉庫を建てればいいということではないでしょうから、総合的な都市計画があって初めて、田園空間と都市機能が調和した快適な都市圏の形成も可能となるのではないかと思います。時代環境の変化をにらみつつ地域の地の利を生かす市独自の開発構想があるのかどうか、先般のコンサル依頼の状況とあわせお尋ねしたいと思います。
  以上2つの質問をいたしました。宜しくご答弁をお願いいたします。


○企画総務部長(塚田 威君)  それでは、秋田議員の御質問にお答えいたします。
  まず、1点目の、合併効果としての行政の効率化や財政基盤の強化について、現時点でどのように評価しているか、についてお答えいたします。 市が行政改革を進める上では幾つかの課題があるわけでございますが、行政の効率化や財政基盤の強化を図るため、行政改革集中改革プランを策定し、取り組んでおります。その中で、初期の目的を達成した任意の協議会からの脱退による負担金の削減、庁用バス利用の見直しによる委託料の削減、市単独補助金の見直し、遊休土地等財産の売却、定員管理、給与の適正化などを進めたところでございます。

  また、財政基盤の強化につきましては、特に停滞した財政状況を打破するために、自主財源の確保が不可欠な状況にあります。平成20年度策定の総合計画にもうたってありますが、特に歳入面で市税と収納率の向上が財政基盤の安定化に結びつくことではないかと考えております。収納対策につきましては、合併で職員数が増加したことにより、納税課に特別滞納対策係を設け、また、県職員の指導を仰ぎ、市税全体で平成18年度89.1%であった収能率が、平成19年度におきましては90.53%となりました。今後さらに強化し、財源の確保に充てていきたいと考えております。

  しかし、現在の経済状況を見ますと、税収の伸びは考えられず、税収以外の財源確保が必要となってきます。市有財産の適正な利活用を含めた売却可能資産の処分につきましては一定の成果を上げているものの、利用料、手数料の見直しなどの受益者負担の適正化などについては実現していない現状であります。今後についても非常に厳しい財政状況が予想されますので、いまだ実現されていない施策を実施し、歳入歳出両面から思い切った見直しをかけ、財政基盤の安定化を図っていきたいと考えております。

  次に、平成21年度の機構改革は、市民協働型によるまちづくりへの変革に対応した仕組みづくりを基本方針に、組織の一部を見直したところでございます。特徴的なところとしては、部長の総括補佐として次長を配し、指揮命令系統の明確化を図るとともに、部内各課の連絡調整、政策判断、懸案事項の進行管理を行い、重要な政策課題等の総合調整を行うものでございます。また、新設した「市民協働課」は、市民参画の推進、国際交流の推進、自治組織の振興などを業務とし、市民協働のまちづくりに対応した組織となっております。そのほか、係から室へ、室から課へ格上げするなど、組織の充実を図り、現時点では市民の声にこたえ得る組織の一部見直しができたものと考えております。なお、根本的な見直しにつきましては、新石下庁舎の開庁にあわせて行う予定でおりますが、行政サービスメニューを拡充し、市民に不便を来さぬよう内部で検討を進め、行政サービスが平等に行われるよう十分に配慮した組織・機構の改編を行ってまいりたいと考えております。

  続いて、2点目の、圏央道インターチェンジを取り巻く地域の今後の開発計画について、お答えします。
  水海道駅南地区整備計画及び物流拠点整備計画策定業務は、昨年5月26日に株式会社オオバと294日間の履行期間、766万5,000円の契約金額で委託しております。当該策定業務のうち、圏央道、水海道インターチェンジ周辺地域の物流拠点整備計画につきましては、インターチェンジ周辺地域の整備にかかわる基本計画案として、地区の現況と整備課題、地区整備の基本方針、土地利用計画のほか、地区整備の実現化方策と実現化の手順といった計画書の策定業務が昨年度中に完了しております。

  一方、水海道駅南地区整備計画につきましては、昨年末に事業者であるイオンリテールから、景気低迷による建築資材の高騰と急速な社会経済情勢の悪化を理由に、出店規模をこれまでの半分に縮小する計画変更の申し出があったため、履行期間内で業務を完了させることが不可能となってしまいました。市といたしましては、明許繰越の手続を行い、履行期間を来年3月まで延長した変更契約を締結し、早期に事業主体を確定させ、本来の業務である農政協議、さらには、都市計画協議に向けた作業を再開したいと考えております。

  圏央道水海道インターチェンジ周辺につきましては、当初は物流拠点整備というコンセプトで、交通機能を有効に活用した広域的な物流拠点整備を中心に検討しておりましたが、常総市周辺地域及び県西地域における近年の動向として、物流施設が飽和状態となりつつある傾向にあることから、現在では地元雇用の創出が期待できる生産工場等を中心とした、常総市の新たな産業拠点整備という構想に方向修正をしたところでございます。

  また、その整備手法としては、まずは企業が立地できるような基盤整備と体制づくりが必要と考えておりますが、市がこの開発予定地区全域を一度に整備することは大きなリスクを抱えることになるため、段階的に都市計画法に定められた地区計画制度の指定を前提とした、組合施行や立地企業によるオーダーメード方式の土地区画整理事業、開発行為といって複合的な開発手法を用いて整備していきたいと考えております。以上でございます。


  (再質問) 御答弁いただきましてありがとうございました。
  合併後の行政の効率化、財政基盤の強化等について、どの程度実現しているかとお尋ねしたところ、よくわからない答弁なので、あまり実現していないのではないかと、このように評価せざるを得ないところかなと考えております。

  今度の機構改革で特徴的なところは、次長制、さらに、市民協働課の新設、下水道課の石下支所への移転等々があって、市民協働課については喜見山議員の質問にあったので省略いたしますが、次長制等については、例えばこういうポストというのは、つくるときは簡単だけど、合理化するとき、やめるということになると非常に大変なことですね。だから、先般の私の質問の中で、合併前のそれぞれの組織が持っていた総務的な役割などを統廃合して、スリムな機構を構築するということが一つの合併の、行政の効率化という点で挙げられるのではないかと、このように聞いているわけです。

  今回の機構改革において合理的な体制が確立したと考えているのか。すなわち、今の答弁で、指揮命令系統を明確化すると、こういう答弁でしたが、ポストがふえれば指揮命令系統は明確じゃなくて複雑になるんですよ。ですから、この指揮命令系統を明確化するために次長制を採用したという点、そして、合併効果として行政の効率化を進めていくという点においてどういう整合性があるのか、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。

  それと、圏央道インターチェンジの問題については、これはやはり時代、環境の変化もありますから、前はインターチェンジ7ヘクタールを取り巻く70町と、こういった大ざっぱな物流基地構想ということであったかと思いますが、どうも飽和状態だと。この計画は、結局はなかったことにしようというようなことなのかどうか、現実的に新たな企業誘致等を雇用確保のためにやるといっても、何か市の特徴的な考え方がなければ、この時期ですからね、新たな企業を誘致するといったって、どこがどういう企業が来るのかという話になると、なかなかこれはお題目だけの話になってしまうだろうと思うわけですよ。ですから、せっかく非常に莫大なお金を投下してそういった地域の利便性というものをつくってきているわけですから、それを有効にするためのアイデアがなければ、結局できなかったなということで終わってしまうのではないかと思うわけです 。

  私は、議員になって初めて、今から五、六年前の話ですけれども、やっぱり当地域のアピールの材料というのはどういうことかというと、やっぱり非常に近い田舎ということで、例えば家庭菜園つき住宅みたいのをつくって、広い居住空間を、土地も安くなったから提供しながら、農家では当たり前なことですけども、そういった環境を都市住民に提供してはどうかと、こういう提案をいろいろやってきたわけなんです。それはもちろん農地法上のいろいろ縛りがありますから、経済特区の中でそういう提案をしてやったらどうかと、こういった議論をいろいろ展開してきたところです。これは私のもちろん私案ですけれども。やはり何か地域のインパクトのある案、企業をよぶにしても何にしても、何もない、ただ来てくれというような話だけでは、現実問題としては何一つ進まないと考えるところでございます。その辺のところで、少し常総市の地域的な環境であるとか利便性であるとか、あるいは、市の政策としてどういったまちづくりを目指すかという、対外的にアピールするような内容を持っていないと物事は何一つ進まないと思います。

  このインターチェンジを取り巻く開発についても、どうも今の経済環境では当分ないのかなみたいな話になってきつつあるというふうに思いますので、そういったところですね、今後議論を大いにやっていく必要があるのではないかと、このように思うわけです。この点について、結局この800万円の委託料というのは、それに対する委託結果の報告等についてはどういうふうになるんですか。もう一回確認したいと思いますが、委託料を出した結果。要するに、我々に対してはどういう報告があって、これからどういうふうに議論を進めていくのかという問題について。再度と答弁をお願いしたいと思います。


○企画総務部長(塚田 威君) それでは、秋田議員の再質問にお答えいたします。
  まず1点目の、次長制を設けた点でございますが、次長制につきましては、次長で組織する政策幹部会議を開催しておりまして、その中で合併特例債の見直し、また、一部事務組合の一元化の検討をしているところでございます。また、市の主要課題に対応するための検討をしているところでございまして、実効性があると思っているところでございます。

  2点目の、インターチェンジの開発計画についての質問でございます。これについてはコンサルに委託したわけでございますが、コンサルはあくまで客観的な資料と考えているところでございます。これをどういうふうに生かすかというのは、市の判断も重要であるととらえているところでございます。議員御指摘のとおり、自然、農業などをキーワードに、雇用創出を中心にこれから考えていきたいというふうに考えております。 それから、コンサルに委託した業務につきましては、9月議会の中で報告をさせていただきたいというふうに思います。以上でございます。


  (再々質問) やはりこの合併の効果といいますか、合併というのは本当にふだんにないことで、二つの長年やってきた歴史ある組織が一緒になったわけですから、これは大変なことだと思います。そうした中で、本当に具体的な効果を出すということは非常に大変だと思いますが、例えば、お題目的に行政改革プランで民間委託を推進するんだとか何とか言っておりますが、私は、短期的には相当合理的な人事体制をとったら、普通考えれば人は余るわけですよね。そういった人によって、むしろ民間委託しないでも仕事ができると。短期的にはこういうふうな時期があってもしかるべきだと考えるところでありまして、何かあまりにも一般的なことではなくて、もう少し具体的に踏み込んだ、合併効果を具体的にどう実現するかという点を踏み込んで議論していく必要があるんじゃないかというふうに考えるところであります。これは議論の尽きないところですから、これからもいろいろ意見交換をしていきたいということにとどめたいと思います。

  あと、圏央道の問題については、9月議会に報告があるということなので、これについてはその際また議論していきたいと思います。これで今回の私の質問を終わりにいたします。ありがとうございました。


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