戻 る
平成19年 3月の一般質問

  4年間の任期も残すところ2ヶ月となり、今期最後の定例議会であります。めでたく新市・常総市が誕生し1年余りが経過したところですが、 今後のまちづくりという点では、4月の統一地方選によって選ばれる首長や議員によって本格的に進められるものと思いますが、今後に繋げて いきたという意味もこめて、今期最後の一般質問を行いたいと思います。

  質問の1点目は、戦後農政の曲がり角ということが言われて久しいわけですが、いよいよ曲がり角も本物の時期となって、国の進める新たな農 業政策で平成19年度から始まる品目横断的経営安定対策の取り組みによって、戦後日本農業の形であった小規模自作農というスタイルがまさ に終焉の時期を迎えつつあるのではないかと考えるものであります。認定農業者等の担い手や集落営農組織についてはこれまでも議論してきた ところであり、今後の経緯を見守っていきたいと思いますが、今回は、この農政改革の一環として取り組まれる「農地・水・環境保全向上対策」 についてお尋ねしたいと思います。

  農地・農業用水等の資源は単に農業だけでなく、農村の豊かな自然環境や景観を形づくる上でもおおきな役割を果たしています。農家ばかりで はなく、一般の市民にとっても、きれいな水や空気などの生活環境を守っていくことは、住みよい地域社会であるために欠かすことの出来ない 要件であると思います。今日、日本の少子高齢化の波は農村社会をよりおおきく襲い、さらに、土地の利用集積が拡大することによって、土地 持ち非農家が拡大し、地域共同による農村資源の保全活動がなかなか難しくなってきているのが現状ではなかろうかと思います。

  一方国においても、農業改革を進め担い手に耕作農地の集積を進めることによって、農村における農業生産基盤の確保も難しくなり、かつ、農 村の豊かな自然環境や景観を守っていくことが困難になるであろうという問題意識から、農業政策という枠を超えた、「農地・水・環境保全向 上対策」という施策を提起せざるを得ないという、問題の深刻さがあるのではないかと考えるものであります。 今回、農業者だけではなく、地域住民や自治会をも巻き込んで、農村の自然や景観などを守る地域活動を促し、こうした組織・活動にたいし助 成をおこなって行くとしています。たしかに地域の方々がこうした理念のもとに地域共同の活動を広げ、農村の豊かな自然環境や景観を守って いくことが出来るならば、まことに結構なことであろうと思います。具体的な取り組みの中で、実現可能な地域をどんどん育てていって欲しい ものだと思います。

  平成19年度当初から、こうした活動に三妻・白畑地区や大生・東地区などすでに市内にはいくつかの組織・団体が先駆的に取り組んでいると 聞いております。ただ、現実的には、農村における草刈や用水普請などの農地保全活動には、集落内の特に土地持ち非農家など共同活動への参 加率が年々低下している等の問題もあります。こうした中にあって、活動組織には農業者だけでなく、農業者以外の構成員が必須の条件であり、 そうした方々に農地の保全活動に参加していただくことは、なかなか難しいことではなかろうかと思います。また、活動組織への助成金は、対 象地域内の農振農用地の面積をもとに算定されるということのようですが、耕作地の出作・入作はどのように考えられるのか、さらに、景観形 成の取り組みなど、理念としてはまことに結構だが、助成金の仕組みとどう整合性を図るのかなど問題も多く、結果として助成を受けるという ハードルが高くなってしまうのではないかと思うところであります。

  また、この施策には、環境にやさしい営農活動への支援ということで、資源を守る共同活動に対する支援を受ける地域で、さらに化学肥料・化 学合成農薬の大幅低減など、環境にやさしい先進的営農活動を行う場合には、これらに対する支援も受けることが出来るとしています。これは これで、食の安全が叫ばれる今日、的を得た施策であると思いますが、先の資源を守る共同活動に対する支援を受ける地域でというのが前提条 件のようでありますから、具体的な取り組みを広げていくことは結構大変なことであろうと考えるものであります。

  いずれにしても、農村・農業の環境が激変していく中、常総市という地域にあった現実的、具体的な施策を展開していくことが求められている と考えるものであります。こうした観点から、
@ 平成19年度から導入される「農地・水・環境の保全向上対策」とはどのようなものか。
A この施策に対する当市の具体的な取り組みの現状と、今後の見通しは。
について答弁を求めたいと思います。

  質問の2点目ですが、一級河川である鬼怒川と小貝川について、市としての現状認識と考え方についてお尋ねしたいと思います。 常総市を縦に貫く鬼怒川。東の境界となっている小貝川。この2つの川は、常総市の顔とも言うべき川で、その優れた景観は地元市民の心を和 ませ、市長を始め多くの地元画家の画材といいますか、絵の対象になっているところであり、また、土手や堤防は散歩道やサイクリング道路と して多くの市民に親しまれているところかと思います。今回、旧水海道市と旧石下町が合併し、常総市が誕生したわけでありますが、2つの地 域をつなぐ2つの川は、ますますその役割を拡大し、市の看板にもなっているものと考えます。

  一級河川については、基本的には国が管理するものであり、土手や堤防はその水害を防止するためのものであろうとは思いますが、これらを有 効に活用することは、当市の条件としてはなはだ意義のあることではないだろうかと考えるものであります。 すでにかなりの部分において、土手の舗装が整備されているところでありますが、鬼怒川の両側と小貝川の西側という3本の常総市を南北に縦 断する遊歩道やサイクリング道路を作り、自然の景観に触れながら徒歩や自転車によって、石下地区と水海道地区の往来が増えれば、新市の一 体感ある街づくりにも貢献し、子供たちにも自分たちの地域を愛する情操が生まれるのではないかと考えます。ところどころにトイレや駐車場 を整備することによって、遊歩道としての利用が拡大するばかりではなく、マラソン大会などのイベントの開催にも利用できるのではないかと 思うところであり、ぜひとも実現したいものだと考えております。

  続いてもう1つ、河川管理の問題で、その水質の変化についてどう認識しているかについてお尋ねいたします。 先日、平成18年度の公害年報をいただきました。この中で、鬼怒川・小貝川については、おのおの3箇所で年に4回、市独自の水質調査を実 施しているとのことであります。報告では、水質汚濁の指標として、BOD(生物化学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)などのデ ータが示されておりますが、専門的な知識がなければ判断も難しいものと思います。 一方、私が聞いた地元のつり愛好者の話では、毎年、鬼怒川でのつりを楽しんできたが、平成17年までは結構釣れたが、昨年はまったくつれ ず、釣果は激減したという話を複数の方から聞かされております。 今年の冬は記録的な暖冬であると、連日テレビで報道されるなど、異常気象が異常でなくなるほど、地球環境の変化には大きなものがあるよう です。鬼怒川から魚が消えた原因は何か。公害年報による水質調査の報告では、両河川とも有害物質については、環境基準を満足しています。 ということだが、その他の指標では、環境基準に適合していなかったということもあったようであります。魚が消えた原因に水質の変化が関係 していないかと心配しているところであります。

  こうした観点から以下の質問をいたします。
  @ 鬼怒川・小貝川の堤防は散歩道として多くの市民に親しまれているが、石下地区・水海道地区を縦断するような遊歩道を整備する考えは あるか。
  A 鬼怒川・小貝川について水質汚濁等の問題はないか。
  以上、2つの質問をいたしました。よろしくご答弁をお願いいたします。


○産業労働部長(柳田 正君) 秋田議員からの、平成19年度から農政改革の一環として導入される農地・水・環境の保全向上対策の取り組み についてという質問にお答えを致します。
  この向上対策につきましては、地域ぐるみで効果の高い共同活動と、農業者ぐるみの先進的な営農活動を一体的かつ総合的に支援するもので、 平成19年度から5ヵ年継続で実施されます。内容としましては、国民共有の財産である農地・農業用水等の資源を子々孫々の世代に良好な状 態で引き継ぐという趣旨から、農業者だけでなく、御質問にありましたように、自治会、PTA、子供会等の地域住民が一丸となって活動組織 を構成し、資源保全に取り組むということでございます。

  支援体制と致しまして、共同活動――資源保全ですが――への支援、それと、営農活動への支援の二つの支援に分かれております。共同活動で ございますが、基礎部分と誘導部分に分かれまして、基礎部分としましては資源の適切な維持管理、具体的には施設機能の保守点検、水路の草 刈り、泥上げ等の清掃活動、農道の軽微な補修作業、さらに、誘導部分としましては、施設の長寿命化を目的とし、劣化箇所の点検・修繕、 ゲートの保守管理など農地・水向上活動と、水路沿いの花の植栽等、景観形成や生態系保全など、農村環境向上活動への取り組みを実施すると いうものでございます。基礎部分については項目すべて、誘導部分につきましては一定以上の項目を選定して実施するということになっており ます。

  基礎支援の基準ですが、10アール当たり水田で4,400円、畑2,800円となっております。内訳は、国が2分の1、県と市町村がおのお の4分の1負担でございます。営農活動への支援につきましては、これは化学肥料の5割以上の低減等の、環境に優しい農業に地域で取り組む 際に受けられる支援でございまして、水稲については10アール当たり6,000円の支援が受けられるということでございます。国、県、市 町村負担の割合は、共同活動支援と同率でございます。当市におきましても、新年度から5地区324ヘクタール、菅生沼土地改良区179ヘ クタール、白畑24.4ヘクタール、東町78ヘクタール、石下地区左平太新田で37ヘクタール、前沼、これは坂手と坂東市、大口の境にあ るところなんですが、4.9ヘクタール、この5カ所を実施することになっております。市の負担額は。421万7,000円でございます。ま た、菅生沼は守谷市と、前沼は、先ほど申しましたように坂東市とまたがっております。この場合は属地主義の対応となってまいります。

  いずれにしましても、この事業の実践により住民一人一人が地域の将来像を見据えて、大切な自然環境を維持するには何をすればよいかという 素朴な、しかしながらきわめて基本的な意識を高揚させ、地域住民全体の社会共通資産であります農地・農業用施設等の資源を、繰り返しにな りますが、子々孫々の世代に良好な状態で引き継ぎ、あらためて良好な農村環境の形成や環境を重視した農業生産に取り組んでまいりたいと考 えております。御理解いただきたいと思います。以上です。


○都市建設部長(鈴木忠男君) それでは、秋田議員の、鬼怒川・小貝川の堤防は、散歩道として多くの市民に親しまれているが、石下地区、 水海道地区を縦断するような遊歩道を整備する考えはあるかという質問にお答えします。
  ご承知のとおり、鬼怒川・小貝川については、国土交通省下館河川事務所が管理しております。現在、国では利根川水系河川整備基本方針及 び河川計画を策定中でございます。その中には、鬼怒川及び小貝川の河川整備計画も入っているのでございます。また、その河川整備計画の 原案を策定するには、事前に関係住民の皆様から整備計画に対する意見や、小貝川・鬼怒川に関する思いなどを聞かせていただく公聴会の開 催、意見募集等を行っております。先日、2月23日には当常総市民会館において公聴会が開催されまして、当市では吉原議員に「十一面山 の自然を守り育む会」の活動を踏まえた御提言をいただいたところでございます。

  散歩道の整備についてでございますが、鬼怒川におきましては、三坂地区と若宮戸地区の一部に堤防がない部分がございます。この無提部分を 築堤することにより、小貝川と同様に常総市内を縦断する遊歩道ができるものと考えております。既に常総市と致しましては、築堤工事の事 業説明会及び用地交渉の面において、下館河川事務所と連携を図りながら協力体制をとり、積極的に取り組んでいます。今後は、この築堤工 事の早期実現と付随する施設等の整備や、川に親しめるような環境整備事業についても強く要望してまいりますので、ご理解のほどよろしく お願いいたします。


○市民生活部長(堀込 昇君) 鬼怒川・小貝川について、水質汚染等の問題はないかとの御質問にお答えいたします。
  ご承知のように、鬼怒川・小貝川の管理につきましては国土交通省下館河川事務所の所管になっておりまして、それぞれの河川につきまして は毎日のパトロールの実施によりまして河川の管理、水質等の調査を行っておるところでございます。こうした中で18年度中、これは12 月いっぱいの調査ですけども、鬼怒川で21件、小貝川で10件合計31件の水質事故が報告されております。主な事案としましては、油流 出事故となっております。このようなケースにつきましては、国、県、市町村が連携いたしまして、水棲動物等への被害防止のために直ちに オイルフェンスやオイルマットを張る、こうした手立てを致しまして、幸い大事には至っていないということになっております。また、魚類 などへの影響も懸念されますので、関東漁業組合との協議を図り、常日頃から水質保全に努めているところでございます。

  当市としましては、この水質汚染防止策といたしまして、水質汚濁防止法、あるいは、茨城県生活環境の保全等に関する条例、それから、市 の公害防止条例等を基本と致しまして、先ほど議員の話にもありましたけども、市として毎年4回、それから県が24回、また、筑西市、結 城市、下妻市、常総市の4市で構成する広域公害調査研究会において年2回の定期採水調査を実施しております。このような中、両河川の水 質等については、環境基準、先ほど議員もおっしゃっておりましたけども、水質汚濁の基準でありますpH、これは水素イオン濃度、BOD (生物化学的酸素要求量)あるいはCOD(化学的酸素要求量)、SS(浮遊物質)など6項目にわたる測定値で調査をしておりますけども、 この基準のいずれもその範囲内で推移をしてきておるということから、水質汚濁については現在のところ問題はないというふうに判断をして おります。

  しかし、最近釣り愛好家の中で、魚類の量が減る傾向があると。先ほど議員のご指摘がありましたけども、水質汚染による何らかの影響があ るのではないかというご指摘がありますけども、この数値のみで見た場合には、現在のところ直接的な影響はないというふうに判断をしてお ります。ただ、この魚類の減少背景と致しましては、近年の問題としましては、カワウの異常な繁殖、それから、ブラックバス等の増加、こ ういったもので、いわゆる魚にとっての天敵といいましょうか、そういったものの影響、さらに、長い目で見てみますと、かつての生息環境 の変化、例えば、鬼怒川におきましては昭和30年半ばからの砂の採取でありましたり、それから、護岸工事と河岸のコンクリート化、それ から、これは鬼怒川だけではありませんけども、川自体の流れの変化、こういったもろもろの、いわゆる生態系の変化による影響も複合的な ものとしてあるのかなというふうに思われます。

  ただ、先ほど水質的に問題はないというふうに申し上げましたけども、長い時間の中で、たとえ基準値の中であっても何らかの影響が出てい ないとは言い切れないのではないかなというふうに思います。そのほか市内からの、事業所からの排水、これも非常に大きな問題となります ので、各事業所との公害防止協定の締結による水質保全などにも努めてきておるところでございます。このように生態系の問題もありますけ ども、第一義的には川を汚さないということで、水質調査を含めて今後も努力を重ねていきたいというふうに考えておりますので、ご理解を 賜りたいと思います。以上です。


  ご答弁ありがとうございました。 まず、第1点目の農地・水・環境保全の問題ですけど、これは非常に理念としてはよくできているなと思 いますが、何か東大出の優秀な官僚が霞ヶ関あたりで一生懸命考えたという雰囲気もなきにしもあらずだというふう に感じておりまして、なかなか現場の運用は大変なものもあるのかなと思います。ひとつは、土地改良の維持管理との関係、こういったもの については当然行政も調整役を果たしていかなくちゃならないだろうというふうに思っているんですが、特にその辺のところについてどのよ うに考えているか、再質でお尋ねしたいと思います。

  それから、鬼怒川の縦断する遊歩道については、中三坂のところの無堤防のところを今いろいろと取り組まれているようですが、美 妻橋から三坂のところまで、土手が旧国道294号になっているという問題があって、なかなかこれは難しいのかなというふうに思います。 歩道を川の中側に作るといってもなかなか難しいところもあるのかなということもあると思うんですが、考え方としてはぜひそういったものを 実現して、旧水海道と石下の一体感のある環境づくりに大きく寄与するのではないかと思いますので、ぜひ進めていただきたいと、このよう に要望したいと思います。

  それと、最後の水の問題は、水質には直接問題がないということで、釣り愛好家の話もデジタルな話じゃないですから、1時間やったら何匹 つれたというのが、去年はほとんどつれないみたいな話で、かなりアナログな話ではありますけれども、極端に釣れなくなったと、こういう ような意見を聞いております、昨年度。ですから、先ほども答弁の中にありましたが、カワウですか、これも異常に発生しているんだという ような話も聞いておるんですが、その辺はどのように認識しておるのか。カワウが最大の原因なのかどうなのか、甚だ私らも良くわからない んですが、いずれにしても、徐々に10%、20%とか、そういうふうなレベルで魚が釣れなくなったのではなくて、去年極端につれなくな ったと、こういうことを聞いておるわけなので、その辺をどのように認識しているかということだと思うんですよ。水質に問題がなければ別 の原因があるのかなと、このように考えているんですが、もしそのようなところで何か、まあ、わかるものがなければ今後の調査ということ で結構ですが、ひとつよろしくお願いしたいと思います。


○産業労働部長(柳田 正君) 秋田議員の再質問にお答えします。この事業地、5地区あるんですが、そこでの用排水路、道路等の土地改良 区、また、道路管理者、市道ですから市の用地管理課等になろうかと思います。用排水路の管理につきましては、土地改良区との調整になろ うかと思うんですが、大規模な修繕となりますと、これはどうやっても土地改良区ならびに市の農政補助等を利用しないとできないというふ うに考えております。あと、道路管理につきましては、舗装とか採石を敷くぐらいでしたら何とかできるんじゃないかと思うんですが、一応 道路管理者の方の仕事の一環というふうに考えております。ですから、道路管理者の意見を聞いての話、事業になろうかと考えております。 以上です。

○市民生活部長(堀込 昇君) 最質にお答えいたします。
  一言で申し上げますと、はっきりわかりません。それで、現在のところ関東漁業組合とも一緒に調査を進めているというところで、カワウに つきましては現在のところ高野の一高下の繁みといいましょうか、そこをねぐらにしているということで、日によっては違うんですけども、 例えば鬼怒川の魚道といいますか、そういうところに一面真っ黒になるほどに魚を捕らえようとして身構えているというような姿が見受けら れます。以前は豊岡の安養寺の裏側に生息しておりまして、一定移動しながらかなりの被害を、これは魚だけじゃなくて、その鳥による糞害 もかなりのものがあります。ただ、駆除というのがなかなか困難なものですので、こういったことも含めてこれから研究していきたいという ふうに考えております。


戻 る