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平成18年 6月の一般質問

  通告書の内容に従って、2つの一般質問を行いたいと思います。よろしくお願いいたします。
  質問の1点目は、個人情報保護法の全面施行から1年を経たが、現場における運用をどう評価しているかという ことについて。2点目は、市立図書館の今日的役割についてであります。

  個人情報保護法は平成17年4月に全面施行し、約1年が経過したところであります。本来この個人情報を保 護しなければならないという立法の趣旨は、高度情報化社会の進展というコンピューターとそのネットワーク によって、膨大な情報が瞬時にやり取りできる環境が一般化し、個人情報を悪用する危険性が増大したという ことが背景にあって、オレオレ詐欺や振り込め詐欺のように不特定多数を対象にした犯罪に、流失した個人情 報を利用されることを防止するということが大きな目的であったと思います。

  したがって、昨年4月の全面施行にあたっては、5千人を超える保有個人データを6ヶ月以上保有している場 合「個人情報取扱事業者」となり、この法律を守る義務が発生するということであり、個人情報とプライバシ ー情報とは別の概念でありますから、個人情報保護というのは一般個人の場合にはあまり関係のないことのよ うに考えられていたと思います。

  しかし、1年の経過のなかで、具体的な行政指導や通達によって、個人情報保護という名目によって、市民生 活が大きく変化してきているのが現状であると思います。まず、第一に挙げられるのが、地域における様々な 団体の参加者名簿等に、住所や電話番号等が個人情報ということで記載されなくなってきています。また、名 簿そのものが個人情報保護上まずいということで廃止されたものあり、地域での様々な諸団体の活動で、不便 な思いをしている役員の方々等も多いのではないかと思います。

  また、ゴミの収集についてですが、これまでは各個人の責任を明らかにし、分別収集に協力していただこうと、 透明の中身の見える袋を採用し、名前を書くことにしてきたと思います。しかし、ゴミは個人情報だというこ とで、名前を書かなくなったりしていることは、個人情報保護法の施行とは次元の異なる問題ではないかと考 えるものであり、さらに、学校現場において、役員や子供たちの名簿ばかりでなく、いわゆる緊急連絡網等も 電話番号入り文書は個人情報保護上どうかというようなことが議論されることは、はなはだ行き過ぎた対応で はないかと考えるものであります。

  こうした状況が各個人の考え方についても多大な影響を及ぼしますから、行政が行う統計調査等にも、個人情 報は提供できないなどの非協力的な人が増え、先般、東京都で公表したように、国勢調査の未回答者が増大し た大きな理由にもなっているのではないかと思います。統計等の情報分析に信頼性があり、情報が公開される ことは民主主義国家の基本であります。プライバシーの保護というのは当然のことでありますが、個人情報保 護という点で、行き過ぎた解釈や指導があってはならないと思いますし、行政の対応は様々な市民団体の規範 になりますので、慎重な対応と同時に、個々人の自らの責任も明確に指導するなど、毅然とした対応も求めら れるのではないかと思います。こうした立場から、以下の質問をいたします。

@ 個人情報の保護は適切に実施されていると考えているか。
A 情報公開という視点で見た場合、個人情報の保護という名のもとに過度な障壁が作られているというこ とは無いか。
B 情報化社会といわれる時代に、円滑な社会生活をおくるための個人の責任と、地域のあり方をどう考えているか。 この3点であります。

  次に、市立図書館の今日的役割についてであります。  時代の進化とでもいうべきでしょうか、今日様々なメディアが登場し、情報伝達の手段というものが非常に多 様化し、情報伝達における図書の果たす役割というのが相対的に低下してきているというのが実態ではないかと 考えるものであります。特に回線インフラとパソコンの普及によるインターネット環境の急激な進展によって、 自宅にいながら様々な情報を収集することか可能となって来ています。情報を収集する場としての空間を提供す るという、図書館の役割も相対的に低下せざるを得ないと思うものであります。

  しかし、一方では、本のリサイクルショップが瞬く間に全国に普及し、こうしたお店で本を求め、読み終えたら また売るという読書スタイルが定着しつつあります。一昔以前であれば、読んでみてよかった本は手元に置いて おきたいというのが一般的であったと思いますが、現在では、読み終えた本を後生大事に閉まっておくなどとい うことは、はやらないことのようであります。そうであるならば、いくらリサイクルショップで安いからといっ ても、ただで借りられる図書館に勝てるはずも無い訳ですし、リサイクルショップが全国に普及していくよりも、 圧倒的に図書館の利用が増えそうなものですが、そうなっていないとするならば、理由は他にあるということだ と思います。

  たとえば、リサイクルショップは営業している時間帯が夜間にわたっているとか、扱っているジャンルがかなり の部分コミック(いわゆるマンガ本)であるということなのか、いろいろと考えられるところであります。 いずれにしても活字に触れる読書の習慣というものは、人格の形成におおきな影響のあることでありますし、生 涯学習という点でも、読書という趣味が実りある人生に大きく貢献するものであることは言うまでもありません。 情報を取り巻く環境が激変する中、また、合併によって新市常総市が誕生、旧石下町では地域交流センターに図 書室があって、これまでのニーズに応えてきたということだが、速やかに一体感のある新市の街づくりという点 で、この分野の役割も大きなものがあるのではないかと考えるものです。
  市立図書館の今後の展開に期待して、以下3点について質問をいたします。

@ 図書におけるリサイクルショップが隆盛を極めている状況や、図書館を民間委託するという自治体が現れ るという状況についてどう考えているか。
A 地域独自の歴史や文化のデータベース基地としての役割をどう担っていくか。
B 合併によるネットワークの構築のなかで、旧石下町の地域交流センターにある図書室等とのデータベース の共有化をどう進めていくか。

  以上、今回の2つの質問。よろしくご答弁をお願いいたします。


○ 企画総務部長 (斉藤忠工君)
  それでは、秋田議員の質問であります個人情報保護法の現状における運用・評 価について、@からBについて順次お答えいたしたいと思います。
  まず最初に、個人情報の保護は適切に実施されていると考えているかの質問にお答えいたします。  当市におきましては、平成15年4月1日から施行した個人情報保護条例において、個人情報取り扱いのルールを定 めております。まず、個人情報を収集しようとするときは、個人情報取り扱い事務の目的を明らかにし、この目的を達 成するために必要な範囲で、適性かつ公平な手段により本人から直接収集することとしております。また個人情報の利 用に当たっては、個人情報取り扱い事務の目的以外の目的のために使用することを禁止し、また、第三者に対する外部 提供を禁止しております。さらに、オンラインによる個人情報の提供を制限するなどの措置も講じているところでござ います。また、この条例では、何人も自己の個人情報に関し、開示、訂正、削除及び利用中止請求することができる旨を規定 し、自己の個人情報が適正に取り扱われるようコントロールできるようにしております。  以上のようなことで、個人情報の保護は適切に実施されていると思います。

   次に、2番としまして、情報公開という視点で見た場合、個人情報の保護という名目で過度な障壁がつくられていると いうことはないかとの質問にお答えいてします。  内容につきまして、個人情報保護措置の行き過ぎにより、必要とされる個人情報の提供までも行われないということは ないかとの御質問と思います。  個人情報保護条例におきましては、本人の同意があるとき、法令等に定めがあるとき、個人の生命・身体等を保護する ためやむを得ないとき、国等に提供する場合において、その利用について相当の理由があり、必要な限度で利用できる場 合等には、本人以外に個人情報を提供できるとしております。  この条例の規定にのっとり、公開することが必要な個人情報の提供については、第三者に提供することについてあらか じめ本人の同意を得るよう努めるなど、個人情報保護と情報公開の円滑かつ適切な推進に努め、過度な障害がつくられる ことのないよう対処していきたいと考えております。

   次に、3点目でございます。情報社会地と言われる時代に、円滑な社会生活を送るための個人の責任と地域のあり方を どう考えているかとの質問にお答えします。  個人情報保護に対する過剰反応とも言うべき状態が、地域社会における匿名性を助長し、責任の所在を不明確にするな ど、円滑な社会生活を阻害しているのではないかとの御質問と思います。  既に御案内のように、個人情報の保護に関する法律は個人情報取り扱い業者に、行政機関の保有する個人情報の保護に 関する法律は国に、個人情報保護条例は市に適用され、個人間、地域住民相互の関係については、一般に適用されるもの ではありません。  個人情報保護については、この適用関係について誤解が生じている面もあろうかと思いますので、今後、必要に応じて 広報等を通し、その周知徹底に努めてまいりたいと考えておりますので、御理解と御協力のほどお願い申し上げます。  以上でございます。


○教育次長 (山野井静雄君)
  秋田議員の大きい2番、市立図書館の今日的役割について、@からBまでお答えをさせ ていただきます。順次お答えを致します。
  市内にも御指摘のようなお店が何店舗かありまして、内容を見ますと、コミック漫画が圧倒的に多く、他雑誌や文庫本 が中心の品揃えで、販売数の多くがコミック漫画ではないかと思われます。こうした背景には、若者を中心とするコミッ ク文化や、使用済みの商品を気軽に売り買いするリサイクル商品の流通の広がりがあるのではないかと思われます。  図書館は、日々出版されます多数の新しい本、年間で約8万冊、1日あたり200冊の中から、図書館の流通ネットを 通じて良質な本を厳選し、市民のニーズにも配慮しながら、新鮮で皆さんに喜んでもらえる有意義な本を収集し、提供し ております。同時に、一定の利用期間が過ぎても、利用価値があり貴重な資料につきましては、精選・保存し、長く利用 に供しているところであります。

   昨年の実績でも、延べ2万7,000人の方に合わせて11万2,000冊の本を利用していただいておりまして、と りわけ3万5,000冊に及ぶ児童書は地元の書店では品揃えも少ないため、地域の子供たち、親御さんたちはもとより、 学校、保育所などの先生にも大変喜ばれております。  したがいまして、図書館は資料の新しさだけでなく、広い分野にわたり、質・量の面でも資料の充実を図ることで、公 共図書館としての独自の役割を担っており、この点では、市民の皆さんにも御理解をいただいているところでございます。

   次に、図書館の民間委託の動きについての御質問ですが、現在では全国的にもそれほど多くはなく、県内でも一部業務 委託があるものの、大多数の図書館が直営で行われていると承知しております。  公共図書館は、図書館法の規定にありますように、国民の知る権利、学ぶ権利を保障する立場から、無料のサービスが 原則となっております。また、将来にわたって貴重な資料を収集・整理・保管していく役割を担っており、日常の図書館 サービスの中でも、利用者の求めの応じて的確な情報を速やかに提供する高い専門性を求められておりまして、司書の継 続的な育成も必要となってまいります。

   Aの地域独自の歴史や文化のデータベース基地としての役割はどう担っていくのかという問いにお答えをしたいと思い ます。
   常総市立図書館には、平成17年度実績で蔵書数は12万7,000冊を超えます。この中には、人気の高い文学書の ほか、社会科学、芸術、歴史などさまざまな分野の図書・資料がありまして、日々皆さんの利用に供しているところでご ざいます。また、地域の歴史・文化に関する郷土資料も積極的に収集し、利用を進めているところであります。平成12 年度からはインターネットで図書館の蔵書を検索できるシステムを導入し、館内ではインターネット端末を開放し、利用 していただいているところでございます。

   図書館は読書の要求にこたえることはもちろんですが、地域の諸課題等にも取り組み、市民の皆さんにとってより役に 立ち、頼りにされるためにも、さまざまな情報・資料を提供したいと考えております。今年度から有料データベースの新 聞記事の検索を図書館で利用できるようにしたところです。また、新たにリファレンスカウンターを設置しまして、読書 相談をはじめ、調査研究などの資料提供にも応じるように取り組みを始めたところでございます。

   現在、常総広域圏内の図書館の相互利用につきましても話し合いを進めておるところでございます。今後、自治体間の 垣根を越えて、最寄の図書館を自由に利用できるような環境づくりや、図書館の持っている情報や資料、機能を市民の皆 さんにひとしく利用できるように施策を検討していきたいと考えておりますので、よろしくお願いをしたいかと思います。

   Bの合併によるネットワーク構築の件ですが、旧石下町の地域交流センターにある図書室等とのデータベースの共有化 をどう進めていくかというお尋ねでございます。  地域交流センター図書室には、平成17年度の実績で2万1,000冊の蔵書があり、延べ7,540人の利用者がご ざいました。現在は生涯学習課の所管で、公民館図書室という位置づけで独自の運営を行っておりますが、資料の活用を 広げ、利用者のサービス拡充を図るために、市立図書館とのデータベースの共有化も必要となってくると思われますので、 今後十分検討させていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。  以上でございます。


(再質問) ご答弁ありがとうございました。まず、個人情報の問題ですが、情報の保護というのと情報公開という問 題は、これは基本的に矛盾した問題ですが、 これらの問題について、やっぱりどうしてもバランス感覚が要るのかなと、こういうふうに考えているところでございま す。個人情報保護法が施行してから、情報が何でも個人情報だということで過敏な対応になって、行き過ぎちゃっている 点が多々あるんじゃないかなと、こういうふうな印象を持っているわけです。特にこの点で、行政の取り組み方とい うのは非常に、市民生活のいろんな諸団体に対する規範になりますので、そこで、特に教育委員会、教育長にお 尋ねしたいんですが、特に学校現場とかPTA活動等々の問題について、この個人情報保護法施行以来、そういった点 ではどういうふうに変わった点があるのか、あるいは現状の運用はどうなのか、そういう点について、また教育委 員会の現状評価についてもお尋ねしたいと思います。

   それと、図書館については、やはり現在は、いい本を買ってみんなに読んでいただくというのは結構なことなんです が、非常に視聴覚分野のいろんなメディアが今、開発されておりますから、そういう情報の取り扱いの時代背景という のが相当変化してきているんじゃないかなと、こういうふうに考えているわけでございます。そういった中で、やはり 時代に対応するという点と、図書館みたいな役割が腰の据わったスタンスで守りつづけていかなきゃならない分野とい うのも当然あるのかなと、こういうふうに考えているわけでございます。ですから、行政が運営する図書館という立場 で、今後いろいろ取り組んでいってもらわなくちゃならないと思います。

   質問の3点目の一番最後に、石下町の地域交流センターにある図書室等と、等と書いてありますが、今回も学校現場 における図書室等々の運用についての質問がありましたけれども、やはり市内の学校図書館であるとか、あるいは公民館 の図書館であるとか、そういったものの、これは市の図書館が中心となってそういったデータベースを作って、 先ほど答弁にありましたように、インターネット環境の中で検索するシステム等々、水海道についてはそれなり に進んだものを持っていると思いますので、そういったものを常総市全域、あるいは学校現場含めて、作っていくというの が必要かなと、こういうふうに考えているところでございます。やはり図書館としての基本的に維持していかなければ ならないものと、あるいは時代の変化に対応していくべきところはどういうところなのかと、そういうところをもう少 し答弁いただければなと、このように思います。


○教育長(染谷保夫君)
   教育委員会としての個人情報保護条例以降、どのように変わったかということについてちょ っと申し上げたいと思うんですが、いろいろな審議委員とか、教育委員会の方で委嘱してやっていただいている方の住 所とか電話番号については、本人の了解をもらった上で名簿をお渡しするという場合と、それから、相談員のように、 個人について顔とかそういう、名前が一致したほうがいいというものについては、顔写真入りで市報とか、そういうこ とでお知らせするようにしているというのが現状です。

   それから、学校現場では、じゃあ、どうかということになりますと、卒業生の名簿、それから入学者の名簿等につい ては、名前のみというふうに今なっております。そのときに、通学班とか連絡網とかということで、やっぱり親御さん のほうで困るという要望もございますので、それらについては公開しているというところです。できるだけやっぱり、 ほかに利用することのないように対応してきているというのが現状だと思います。

   それから、学校図書館も含めて検索できるようなシステムの中に繰り入れるということと図書館のあり方について、 時代の要請にあった方向で対応していったらいいんじゃないかということにつきましては、私どももそのように考えて おります。そこで、まだ検索については、各学校のものは、実際にそういうシステムはまだ取り入れていないというの が現状でございます。できるだけ早い時期にそのような方向に進めてまいりたいというふうに思っております。  以上です。


(再々質問) ありがとうございました。
   いずれにしてもこの個人情報保護の問題というのは、やはり今、流れとして、情報公開みたいな流れはどこかへ行っ ちゃって、みんな保護、保護というような一色になっているのかなという感じがしないでもないわけなんです。その 辺のところを、どうしても各地域のいろんな諸団体のやり方というのは、行政のやり方を見て真似するわけですから、 その辺のところで、バランス感覚よく運用していただくようにお願いしまして、質問を終えたいと思います。


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