通告書の内容に従って、一般質問をいたします。質問は、地方分権という流れの中で、「学校や地域の創意工夫
に富んだ教育をどう展開するか」についてであります。まず昨今、義務教育制度の弾力化が議論され、地方が多
様な教育を主体的に実施することが、義務教育の目的達成に必要だという意見についての考え方をお尋ねいたし
ます。次に、保護者・住民が学校運営に参画し、地域ぐるみで子供の教育に当たることができるよう「学校評議
員」や「学校運営協議会」の設置が進められているが、その活動の現状と課題について、最後にNPOの組織と
その参加による「教育者補助員制度」の設置について提案したいと思います。よろしくお願いいたします。
先ごろ国では、平成17年度の予算の概算要求について取りまとめを行ったようですが、税収見込みが40数兆
円のところ、85兆円にも上る要求となり、これからあらゆる分野で予算獲得の折衝が行われるものと思います。
政府としては3兆円以上の削減をしていきたいとのことですが、かりにこの予算の削減が出来たとしても、30
兆円を超える赤字国債の発行は避けがたく、また、金利の上昇が、累積した巨額の借金ためその利払い額を拡大
し、予算歳出にしめる国債費を増大させています。
こうした国における財政の状況が背景にあり、国と地方の税財政改革(いわゆる三位一体改革)論議がいよいよ
本格化しています。三位一体の改革によって達成すべき「望ましい姿」 とは、地方税を充実し補助金依存を抑制
する。一般財源に占める地方税の割合を引き上げ、地方交付税への依存を下げる。地方交付税の不交付団体(市
町村)の割合を大幅に高める。地方財政のプライマリーバランス(公債分を除いた歳入と歳出の収支)を黒字化
し、地方財源不足を解消する。としています。
いずれにしても、全体として厳しい財政状況を改革したいとのことでありますから、補助金を見直し地方交付税
制度を改革するために、地方に税源を移譲するのが三位一体改革だと言っても、市町村の合併等を推進する中で、
少ない財源の中で合理的な行財政の運営が求められ、地方の果たすべき役割と責任が拡大することは避けて通れ
ない課題だと思います。
こうしたことが地方分権というながれの背景にあり、教育という分野も聖域ではありえず、全国知事会が提案し
ている補助金改革案でも、税源を地方に移譲するため、公立小中学校教員の給料の半分を国が賄う義務教育の補
助金を削減し、地方の自主財源とする案を提案しています。
日本という国は資源に乏しく、原材料を輸入して製品を作り出して輸出する加工貿易の国だ。というのが、私た
ちが小学校で習った国の姿だが、同時にこうした国を支える優秀な人材と、それを支える教育があったことは自
明のことであります。今日、日本を取り巻く厳しい財政の問題が背景にあり、さまざまな分野で改革の議論が展
開されているところでありますが、今回は、財政の問題を背景に捉えた、学校教育の問題について質問したいと
思います。
今日の日本は、圧倒的な少子高齢化という時代を迎え、経済の停滞とあいまって社会の活力低下が危惧されてい
ます。また、次代をになう子供たちは、いじめや不登校、学級崩壊などに直面しています。今、日本の教育は大
きな見直しが求められていると思います。
地方分権の流れは税源の移譲ばかりではなく、教育の分野でも、特に義務教育の実施に当たっては、地方が責任
を持ち、学校が出来るだけ創意工夫を発揮して行われるべきだ。との議論があります。地方の実情に合わせて、
6−3制の以外の区分や、小中一貫教育の導入を可能にする意見。30人学級制を地方独自に認めるべきなど、
権限を出来る限り地方や学校に移し、地域・学校の自主性を拡大すべきとの議論です。
当市の小学校の現状では、世間で求める30人学級制どころか、少子化によって小学生の数が減少、1学年の生
徒数が10数人という学級が多々あり、適正規模という点でどう評価しているか。また、今後の入学児童数の予
測を踏まえて、9校ある小学校の将来見通しはどうか。中学校は3校あるが、鬼怒川西ではかなり広い地域をカ
バーしており、以前から議論のあったところに内守谷地区「きぬの里」が加わり、通学バスの問題等も含めてい
ろいろ意見があるようだが、現状をどのように考えているかお尋ねしたいと思います。中学校の学区については、
これも改革の一環だと思うのですが、希望によって学区を選択できるようになり、来年中学校に入学する予定の
小学生に希望を取ったところ、とくに大花輪地区で鬼怒中への入学希望者が多数あったとのこと、美妻橋を渡る
ことによって通学時間が圧縮されることは結構なことだと思います。当市の北側の地区(五箇、三妻、大花輪、
菅原)はいずれも南北に長く、真ん中に川があるという事情が地域の特性を生んできました。今後の地方分権化
の流れの中で、小学校9校、中学校3校という現在の体制も見直す時期がくるのではないかと思います。6−3
制の見直しや小中一貫教育の導入、30人学級制など、 義務教育制度の弾力化という方向と、今後、市の果た
すべき役割についてどう考えているか答弁を求めたいと思います。
次に、保護者・住民が学校教育に参画し、地域ぐるみで子供の教育に当たることが出来るよう「学校評議員」や
「学校運営協議会」の設置が進められているが、その活動の現状と課題についてお尋ねいたします。
学校には従来からPTAという組織があり、保護者と先生方が協力し合って子供たちの教育に取り組んでこられ
たと思いますが、単に保護者だけでなく、地域の有識者に学校運営に対する意見を聞き、学校運営にあたり地域
との連携の進め方などに協力を得て、地域の特色ある教育活動を展開しようとこうした制度が作られ運営されて
いると思います。
現在、「学校評議員」や「学校運営協議会」はどのような人たちがどのように組織され、どのように運営されて
いるかお尋ねしたいと思います。また、「学校評議員」の方々は学校に対してどのような意見があり、学校教育
をどう評価しているか。各学校間の評議員の交流、意見の交換等はあるか。そして、教育委員会としてはこの
「学校評議員」制度をどう評価し、今後のこの制度の運営をどのような方向性で考えているか答弁を求めたいと
思います。
最後に、NPOの参加による「教育者補助員制度」について提案したいと思います。学校での授業は1人の先生
と生徒で行われているわけですが、そこに教育者補助員としてもう1人が加わり授業する提案です。さきごろ
「学力向上フロンティア事業」における公開授業の開催についての案内をいただきました。県教育委員会の学力
向上推進地域としての指定を受け、この秋、大生小学校と水海道小学校で公開授業を開催するとのことでありま
す。こうした指定を受けた学校では、いろいろと準備もあり大変だと思いますが、実施した学校が一番の勉強で
きるものだと思います。
教育の現場に第3者が入る事は教育者すなわち先生方にも適度な緊張をもたらすものと思います。本来はPTA
がこの役割を担っても良いのかもしれませんが、この年齢の父母は働き盛りで難しいと思われますので、定年退
職したシルバー世代のボランティアを組織、社会的経験の豊富な人たちに、子供達の教育活動に参加していただ
くことが重要だと考えます。NPOの教育者補助員は教育そのものに携わるのではなく、教育指導がスムースに
運営できるよう教育者をサポートすることに限定し、教育現場の問題点を共有し、補助員同士の議論を通じて地
域の創意工夫のある教育が実現できればと考えるものです。
“何もかも行政が行うではなく、住民が出来ることは住民が行う”という風潮を育成することが住みよい地域を
創り上げるものだと思いますし、そうした中で次代を担う子どもたちがこの地域から健やかに育っていくことを
記念して質問を終えたいと思います。よろしく、ご答弁をお願いいたします。
(答弁) 教育長(染谷保夫君)
教育制度の弾力化については、秋田議員もおっしゃっておりましたが、いろいろな提案がなされております。小、
中、高、大学の問題です。これまでの6年、3年、3年、4年制を弾力化して、3年、6年、3年、4年制や9年、3年、
4年制に変えてもよいというようなことでございます。もう一つは、学校の選択の自由化です。これまでの法に基
づく通学区を取り払い、市町村で学校を自由に選べるようにしたものでございます。そのほかにも、コミュニテー
スクールとか、英語特区等々、たくさんございます。
いろいろな提案がなされておりますが、当市の規模、あるいは社会的な環境、子どもの発達段階等を考えますと、
当分の間、六三三制の制度が最もふさわしいものと考えております。また、学校選択の自由化についてですが、現
在、東京都等では、小中学校の選択の自由化が実施されています。当市では、児童生徒の減少、施設の活用、35
人学級の実現などを考え抜き、中学校希望制を導入することといたしました。具体的には、先日の全員協議会で説
明申し上げたとおりでございます。平成17年度から実施する予定でございます。この制度により、これまで以上
に良質で、一人一人に行き届いた教育を提供しようとするものです。生徒と保護者が選ぶことによって、生徒に学
習意欲が高まり、充実した中学校生活が送れるものと考えています。また、地域と保護者と学校との新しい関係が
築かれ、生徒の生きる力をはぐくむ教育の実践に連携して取り組めるものと考えております。当市といたしまして
は、激しく変わる教育界ですが、国、県の動向を見きわめ、水海道地域の環境、風土などに遭った学校教育を進め
てまいりたいと考えております。
また、保護者、住民が学校運営に参画し、地域ぐるみで子どもの教育に当たることができるよう、学校評議員や学
校運営協議会の設置が進められているが、その現状と課題は、にお答え申し上げます。学校が地域住民の信頼にこ
たえ、家庭や地域と連携努力して、子どもの健やかな成長を図っていくことは、国民、市民の大きな願いでござい
ます。これまで学校の閉鎖性が問題となっておりました。この問題を解決するためには、地域に開かれた学校づく
りを推進していく必要があります。こうした開かれた学校づくりを推進していくためには、校長の確かな教育理念
のもと、保護者や地域住民に学習活動や児童生徒活動、部活動などの公開を通して地域に説明する責任がございま
す。そういう観点から、平成12年1月の学校教育法施行規則の改正により、地域住民が学校運営に参加する仕組
みとして、新しく学校評議員制度が導入されました。
本市の教育委員会の取り組みは、水海道市立学校管理規則を一部改正し、水海道市学校評議員設置要綱を制定し
て、平成15年4月1日から全小中学校で学校評議員を設置しました。これらの学校が校長のリーダーシップのも
と、組織的に機動的に運営され、児童生徒の実態や地域の実情に応じた特色ある学校づくりを展開することができ
るようにしたものです。学校評議員は、各分野から、学校長の推薦により、委員会が委嘱します。今年度の学校表
議員数は、市内小中学校全体で61名です。各学校における活動の現状についてでありますが、年2回から3回、
学校評議員に意見を聞くために会合を開催し、学校の基本的な目標、方針の設定、学校評価、地域との連携、協力、
生徒指導、進路指導などの事項を意見聴取することが活動内容として報告されています。この制度が、児童生徒の
実態や、地域の実情に応じた特色ある学校づくりに、地域の皆様の期待通りに発展できるよう指導してまいります
ので、よろしくお願いしたいと思います。なお、コミュニテースクール及び学校運営協議会につきましては、これ
から国、県などの動向を見ながら検討してまいりたいと考えております。
三つ目のNPOの組織とその参加による教育者補助員制度の設置についてお答え申し上げます。各学校では、水海道
市教育運営方針のひとつとして、「一人一人を生かし、創意と活力に向けた学校教育」を目指し、地域の皆様の支
援、保護者とのご協力を得て、児童生徒の生きる力をはぐくむため、日頃の教育に従事しているところでございま
す。国、県、水海道市では、社会人TTを導入し児童生徒一人一人のきめ細かな指導をするために、少人数指導やチ
ームティーチングを実施しております。議員もご承知のとおり、今、学校では、総合的な学習の時間や中学校の部
活動などで外部指導者として、地域の専門の方々、地域の名人の方々にご協力をいただき、大きな成果を上げてい
るところでございます。
議員から、NPO組織とその参加による教育者補助員制度の設置という御提案がありました。現在、本市としては、重
度の障害を持つ児童生徒などの教育支援として、教育補助員を学校の実情に応じて配置する準備を進めております。
10月から実施の予定ですので、ご理解を賜りたいと思います。また、この教育補助員は、他の市町村とは違い、
障害を持たない子供にも教育支援するものでございます。これからも地域の子どもたちを地域の手で育てる教育の
推進を進めてまいりたいと存じますので、ご理解を賜りたいと思います。 なお、議員から提案がありましたボラ
ンティアによる教育補助員制度についてですが、現在学校では移動美術館と講和を行ったり、写生会での地域の人
々のご指導、あるいは水海道小学校や五箇小学校、菅生小学校などでは、読み聞かせによる活動、あるいは豊岡小
学校、大生小学校、五箇小学校などでは、地域の農業委員の方々による農業体験も実施しております。今後も地域
の方々とボランティアの方々の協力による教育を一層充実させることを考えておりますので、ご理解を賜りたいと
存じます。
秋田議員のご質問の、地方分権という流れの中で、学校や地域の創意工夫に富んだ教育をどう展開するかについて
の、義務教育制度の弾力化が論議され、地方が多様な教育を主体的に実施することが義務教育の目標う達成に必要だ
という意見についての評価についてお答えします。
(再質問) 御答弁ありがとうございました。いずれにしても教育の問題というのが今後の最大の課題だ
ろうと思います。これは国にとっても、地方にとっても、そのように考えておりますので、これからのご努力をお
願いするしだいです。 一つ、再質問の機会に、この間の学校通学路の問題でお尋ねします。これは全般的ないろいろ
問題もあろうかと思うんですが、大花羽の子どもたちが美妻橋を渡って鬼怒中に入学するという希望が結構あった
という点についてお話しましたところ、やはり川を渡るというのは非常に大きな問題で、美妻橋には歩道が付いて
おりますけれども、渡り切ってから、あそこが土手の上であるためにおりるまで、ちょ
っとの区間でありますが非常に場所が危険です。それについては教育委員会としても、そういっ
た現状を認識されて、建設課の方に何か申し入れを行ったように聞いておりますが、いずれにしても
あそこは非常に危険で、毎日通学するとしますと、あそこで交通事故などの問題がおきて、学校希望制によって子
どもたちが通学する点について問題が起きるということになってはいけませんので、その辺の対応はどうなるでしょうか。
これは美妻橋がまっすぐ抜けるという取り組みがありますから、そういうことによって、きちっと将来的には解決され
るものと思いますが、当面、17年度からということになると、その期間、非常に危険なものがあると思いますの
で、その辺の対応方についてもし御答弁いただけるものがあればお願いしたいと思います。
(答弁) 教育次長(杉山茂美君)
これは、9月10日、金曜日です。先週の金曜日に、登校時と下校時に分けて調査いたしました。まず、登校時で
すが、午前7時20分から8時10分までの50分間を調査しましたところ、大生郷工業団地方面から、岩井の方
からですね、美妻橋をわたり、市街地方面と石下方面に通行車両は約300台、逆に岩井のほうへ行く車、工業団
地のほうへ行くのが約550台、それから谷和原下館線を通りまして、石下方面に両方、上り下りが200台、そ
れらを合計しますと、約50分間で1050台でございます。次に、下校時ですが、下校時は3時50分ごろです
から、午後3時40分から4時30分までの同じく50分間を調査いたしました。まず、大生の郷工業団地方面か
ら美妻橋、市街地と石下町の車両でございますが、約391台、逆に岩井方面へ行くのが397台、それから、谷
和原下館線を市街地と石下方面に行くのが約100台、それを合計しますと888台となりまして、ご指摘のとお
り非常に交通量が多いわけでございます。
そういう中で、今後どうするかということでございますが、これにつきましては、都市建設部にお話をしまして、管
理が県でございますから、その辺のところを今お願いをしているわけでございます。あと一つ、いろいろ横断歩道
とかありますので、これにつきましては、公安委員会となりますので、やはりそれはそれの方に、水海道警察署とか
そういうものにもお願いするわけでございます。約半年かかるという話でございますので、その辺を今やっている
ところでございます。また、今、県のほうで、三妻バイパスを294のほうへ、用地を県のほうで買収しているわけ
でございます。そこに民家がありますが、今後、真っすぐ行きますと民家を通りまして行きますと、向こうに近道が
できますんで、その辺のところを建設部を通しまして、お願いしながら、調整をこれから進めていきたいというふう
に思っております。なるべくそうなった場合に、生徒の安全確保はしたいと考えております。以上でございます。
それでは、秋田議員の再質にお答えします。実際、今、議員が申しましとおり、児童が鬼怒川を渡りまして、県道
谷和原下館線に来て、それから三妻の鬼怒中学校へ通うわけですが、非常に交通量も激しくて、大変危険なところ
は承知しております。そういうわけで、私どもの方も、若干交通量を調査いたしました。ちょっとそれを読み上げ
たいと思います。
(再々質問) ありがとうございました。
これは、橋といいますか、直線道路の話はまた別の話になっち
ゃいますけれども、それができるときには、当然そういったものをきちっと整備されるようにお願いしたいと思うん
ですが、それまでの間も、とにかくそういった事故が起きないように何らかの形での安全策を考慮して進めていただ
きたいなと要望して、質問を終わりにしたいと思います。