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平成16年3月の一般質問

  通告書の内容に従って、土地利用の考え方とその将来方向について質問いたします。
  第1に先般各集落で説明の あった「市街化調整区域における区域指定」について、第2に「家庭菜園つき住宅ということで、小規模農地の 売買による農地付き住宅取得が、構造改革の特区提案にならないか」という提案について、第3に「優良田園住 宅の建設の促進に関する法律」の計画を当地域で取り上げることの検討について、暫時質問いたします。よろし くお願いいたします。

  1990年の株価暴落に遅れること2年弱、1991年に最高値を記録した地価はその後下落を続け、昨年まで 連続12年のダウンとなり、特に茨城県では昨年、住宅地、商業地とも前年対比の下落率は3年連続で過去最大 を更新しています。全体として都心の地価の割安感で、最近の住宅需要は都心回帰の傾向があるといわれており、 特に高齢者の老後の生活を都心に求める傾向が顕著で、都心に近づくほど住宅地の下落率にブレーキがかかって います。

  首都圏50kmの水海道市はバブルの時期に、都心への通勤可能地域としての魅力からか地価が暴騰、 今日、その反動もあってか、地価下落率の高さでは高位置にあり、1999年9月の臨界事故で、翌年、東海村 は地価を大きく下げましたが、このときですら、県内地価の下落率は、東海村が2位、そして1位が水海道市で あったことは記憶に新しいところであります。来年の平成17年の秋に迫ったつくばエキスプレスの開通を睨ん で、つくば市の一部に、土地需要の高まりが見られるようですが、これはきわめて限定的なものであり、県南、 県西地区の地価の下げ幅が大きく県平均を上回っているのが現状のようです。

  また一方、今日の日本を取り巻く最大の課題であるといわれる「少子高齢化」の問題でありますが、現在の予測 では1億2千7百万人を頂点に、再来年の2006年から日本の人口は減り始め、今世紀末には6千万人と人口 が半減するのではないかとも言われています。いずれにしても、この「少子高齢化」と都心回帰傾向によって、 当地域の活性化を図ることは大変難しい問題であろうと思います。来年つくばエキスプレスが開通したとしても、 そのことが即、当地域の活性化に寄与するとは考えにくいのではないかと思います。

  先ごろ県では、2006年の3月ごろの改定を目指し、都市計画を全面的に見直す方針と新聞発表いたしました。 急速な少子化に伴う人口の伸び悩みや、市町村合併の行方を踏まえ、都市づくりも地域の実情や社会情勢の変化 に対応する必要があるということで、市街化区域と市街化調整区域を分ける「線引き」も基本的に見直されるよ うです。当然、水海道市も3市町村合併に向けた取り組みの中で、合併後の新たな都市計画を構築していくこと になると思いますが、そのことは今後のこととし、今回は先月行われた「市街化調整区域における区域指定」に ついていくつかの質問をしたいと思います。

  市街化調整区域のおける規制緩和は、人口流出や高齢化が深刻化し、このままでは将来的に地域社会が成り立た なくなる地域が出てくるのではないかということで見直されるようです。水海道市は県の開発許可基準見直しに よる区域指定に、市内の25ヶ所565haを申請の予定ですが、この区域指定が、その主旨である既存集落の 活性化とそのコミュニティを維持していくために、どの程度の効果があると考えているかお尋ねしたいと思います。

  今回指定の予定である三妻駅周辺地域等では、すでに以前から、当地区の出身者や10年以上住んでいた方には こうした規制緩和は適用されているにもかかわらず、あまり利用されているとは思えません。また、指定される 予定の区域は、農家が保有する自己住宅を取り巻く畑地等の区域で、指定によってこうした土地の売買がどの程 度活性化すると考えられるでしょうか。そして、この指定に伴って指定区域内の地価評価と資産税はどうなるのか。 逆に市街化区域の土地の魅力がなくなって、市街地の地価がさらに下落することは考えられないか。加えて市街地 の都市計画税との関連や、当面市街化区域と調整区域内の指定区域をどう調整していくのか。また、この指定区域 は畑地等が多いと思いますが、この指定によって、農地の転用についてはどうなるのかお尋ねいたします。

  さて、現在の小泉政権では、バブル崩壊後の経済の低迷から抜け出すためには、単に従来型の公共投資だけでなく、 規制改革を通じた構造改革が必要であるとし、構造改革特区を導入、特定の地域における成功事例を通じて全国的 な構造改革へと波及させ、規制改革を行うことによって経済の活性化を図るとしています。特区制度は、「規制は 全国一律でなければならない」という考え方から、「地域の特性に応じた規制を認める」という考え方に転換を図 り、地域の実態に合わせた規制改革を通じて、「官から民へ」、「国から地方へ」という構造改革を加速させるた めの突破口という位置付けであります。

  平成14年7月、構造改革特別推進本部が内閣に設置されて以来、昨年いっぱい、第1次から第4次までの提案募 集で合計1695件の特区構想提案があり、認定された計画は236件あるとのことです。全国から寄せられた特 区構想提案には、さまざまな分野のさまざまな提案があり、それぞれの地域の取り組みには非常に感心させられる ものが多数あります。私も、この構造改革特区構想という提案を基本的に支持するものであり、同時に水海道市と いう当地域で、この特区構想の提案についてどのような議論がなされて来たか関心がありました。水海道市という 地域は首都圏50kmの位置にあり、バブル崩壊による土地価格の大幅な下落中にありながら、居住指向が都心回 帰傾向にあるということで、この地域の活性化を困難なものにしていしています。

  どこに住むかということは生活の基本的な問題でありますが、都心回帰傾向といっても、コンクリートジャングル と呼ばれ緑のない都会は、たとえ生活が便利であったとしても、仕事との関係が便利なのであって、生涯を送る場 所としては疑問符の人々も多いのではないでしょうか。近年、都市の人々を中心に、農山漁村の持つ美しい景観や 豊かな自然に「ゆとり」や「やすらぎ」、「癒し」などを求め、農山村における健康的でゆとりある生活の実現に 対する期待が高まっています。最近、農山村地域に滞在して自然、文化、人々との交流を楽しむグリーン・ツーリ ズムが盛んになりつつあるようですが、定住という点で極端な田舎は、病院が無いなど医療関係の問題や、交通が 不便で車が無いと生活が成り立たないなど問題が多く、過疎化、高齢化が進行している地域が多いのが現実であり ます。

  私が考える水海道という地域は、特につくばエキスプレスの開通で、都心に1時間以内で行ける所であり、一方で、 鬼怒川と小貝川、バックにつくば山と自然の景観も十分にあり、生活の利便性とあわせ、住む地域としては結構な 地域ではないかと考えています。 構造改革特区提案のなかには、農地の権利取得後の下限面積要件を緩和したいという提案がいくつかあり、農業に 参入しやすい環境作りを進めたいとして認定されたものもあるようですが、家庭菜園つき住宅ということで、たと えば100坪までの農地を農地のまま取得できる区域を設け、構造改革の特区提案が出来ないものかと考えます。

  バブル期に土地は絶対下がらないという土地神話によって地価が暴騰し、一般庶民の宅地は徐々に狭まり、家を建 てた残りはカ−スペ−スだけ。ウサギ小屋と揶揄された日本の住宅事情ですが、今日の地価下落によって、150 坪位を単位とした土地で、50坪は宅地、100坪は農地で家庭菜園という広い居住空間を実現し、農地を農地と して売買でき、農地として課税するなどの優遇措置で地域をアピ−ルし、地域の活性化に繋げられないかと考える ものです。

  いずれにしても、急激な「少子高齢化」の時代をむかえ、ゆとりある生活環境作りは大きなテ−マであると考えま す。このテーマでは、すでに平成10年7月に「優良田園住宅の建設の促進に関する法律」が施行されています。 この法律は、「多様な生活様式に対応し、かつ、潤いのある豊かな生活を営むことができる住宅が求められている 状況にかんがみ、農山村地域、都市の近郊等における優良な住宅の建設を促進するための措置を講ずることにより、 健康的でゆとりのある国民生活の確保を図ることを目的とする。」とあります。

  この法律による優良田園住宅の建設計画が認定されれば、税制上の特例措置や公庫等金融上の配慮があり、農地法 や都市計画法の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該優良田園住宅の建設の促進が図られるよう 適切な配慮をするものとする。となっています。非常に良い考え方でまとめられた法律だと思うのですが、実現す るためのコストの問題や、規制緩和の流れの中で、建設される住宅が優良田園住宅であること(生き垣等の採用で ブロック塀の囲い込みは駄目だとか等の細かい規則)や土地の面積ならびに周辺の土地利用の状況、公共施設の整 備の状況等からみて取り上げにくいものなのかどうか。検討の経過があれば、答弁いただきたいと思います。

  水海道という地域は広い居住区間で、自分の庭先に家庭菜園がある。そんな農家ではあたりまえの生活を、都会の 人々にアピ−ルする。柏や守谷から20分、15分足を伸ばせば従来型のカ−スペ−ス付き住宅と同じコストで手 に入る。こうした何らかのメリットがなければ、つくばから45分で秋葉原と言っても、45分より30分、30 分より20分の方が良いわけですから、地域的に取り残されるリスクもあると考えます。地域の活性化のために、 土地の利用について10年後、20年後をにらんだ取り組みが進められるよう心から祈念して質問を終えたいと思 います。


(答弁) 建設部長(杉山茂美君)
  それでは、秋田議員の土地利用の考え方とその将来方向について、@市街化調整区域における区域指定について、 B優良田園住宅の建設の促進に関する法律の計画を当地域でとりあげることの検討について、順次お答えいたします。 まず@の市街化調整区域における区域指定に関する質問でございますが、12月定例市議会の全員協議会の場で区 域指定制度の概要について御説明し、一定の御理解をいただいているところです。その後、指定に向けて県の指 導を受けながら、2月16日から3日間にわたりまして10カ所の地区公民館などを使って説明会を行い、約200名の皆 さんの参加をいただきました。地域指定制度による市街地の地価への影響や制度を使った地域の活性化については、 既に指定を行った市町村の実績によりますと、現在、指定を行っているのは霞ヶ浦町と鹿島市でございます。鹿島 市が9ヶ月で7件、霞ヶ浦町が8ヶ月で4件と指定前の予想より少ない傾向にあります。現時点での市街地の地価への 影響はほとんどないとのことです。また、地域の活性化については、既存宅地制度の廃止による代替措置として創 設された制度という点からも、長期的に効果を期待されるものと考えております。

  また、地価評価と固定資産税については、市街化調整区域でございますので、従前となんら変わることはございません。 さらに、市街化区域と指定区域との調整についてですが、これは行政が行うものというより実際に土地を求めて家を 建てる方自身の判断にゆだねるものと考えております。 最後に、農地の転用については、これまでどおり農地法5条の手続きが必要となりますので、指定区域である証明を 都市整備課で行い、証明書を発行したいと考えております。

  次に、Bの優良田園住宅の建設の促進に関する法律の計画を当地域で取り上げることの検討についてお答えいたします。 この法律は、先ほど議員さんが申しましたとおり、平成10年7月15日に施行されまして、豊かさと21世紀の居住形態 を実現するため、住宅の多様な選択可能性を最大に追求し、自然に恵まれたゆとりと潤いのある田園住宅の建設を促 進し、市民の住宅に対する夢を限りなく実現することを目的とした制度でございます。したがいまして、本市のよ うな市街化調整区域が多い市には、人口の減少や集落の過疎化の進行を防止し、人口の回復、維持を図ることでは非 常によい制度と思われます。 この制度は、いろいろな立地条件、例えば田園住宅を建設するに際し、周辺の自然、集落環境を有する区域などを 定め、数カ所の地域を決定することができます。先ほど話がありました生垣を設けなくてはいけないとか、そうい うものがいろいろとなってくるわけでございます。また、一定の要件のもとに宅地開発や住宅建築が可能となり、 地域活性化の観点から効果が期待されているようでございます。

  法的な手続きといたしましては、市が県と協議を 重ね、基本方針を作成する必要がございます。その内容は数多くありますが、基本的に計画する場合に、地域の個 性を重視したプランや自然環境の保全や農林漁業の健全な発展との調和に関する事項が多々ございます。したがい まして、制度上は今述べたようなことでありますが、県内では霞ヶ浦町が基本方針を策定している県内唯一の市町 村でございます。具体的に制度を利用した宅地開発や住宅建設が実施されたことはないようでございます。 この制度は、他の市町村では、先ほど申し上げたとうり、余り活用されていないようでございますので、今後ど のようなメリットやリスクがあるのか、調査、検討してまいりたいと思っております。また、市街化調整区域にお ける区域指定も、制度化すれば既存集落の活性化とコミュニティを維持するために区域指定制度を活用することに なりますので、これらを総合的に判断いたしまして、よりよい結果が期待できるようにこれから考えていきたいと 思っておりますので、よろしくご理解のほどお願いいたします。 以上でございます。


(答弁) 企画部長 (染谷淳一君)
   それでは、秋田議員の土地利用の考え方とその将来方向についての特にAでござい ます。家庭菜園つき住宅ということで、小規模農地の売買による農地付き住宅取得が構造改革の特区提案にならない かというご質問にお答えをしたいと思います。
  秋田議員のご質問に近い形の家庭菜園つき住宅ということにつきましては、ご案内かとございますが、稲敷郡の東 町におきまして、民間の住宅会社が平成11年から販売をしているということを聞いておるところでございます。これ は70坪からおおむね150坪ぐらいの宅地に30坪ないし40坪程度の平屋の住宅を建て、2,000万円から3,000万円程度で 販売をしているということで、大変好評な証には、300戸を予定している中で、既に270戸、90パーセントの販売が なされたということでございます。購入された方々の状況をお聞きしましたところでは、定年退職をされた60歳代 の方とか、まもなく退職を控えた50歳代後半の方がほとんどだということでございます。ご案内のとうり宅地利用 の仕方は、ゆとりを持った形で利用されるということで、家庭菜園としていろいろな野菜を栽培したりしている人 も随分多く見受けられるという状況のようでございまして、中には、それだけでは事足りず、近くの貸し農園まで 借りて本格的に栽培を始めた人もいるという状況になっているようでございます。

  東町の家庭菜園つき住宅の人気 の要因ということは、やはり安い販売価格ということも当然のこととは考えられますが、空気のきれいな自然の中 で家庭菜園付きということが大きな魅力になっているのではないかということも言われているようでございます。  ただ、この事例につきましては、あくまでも敷地全体が宅地ということで課税されますので、秋田議員が提案し ているものとは、少しそういう点では違うのかという気もしているところでございます。  そういうことですから、いずれにしましても、空間的にゆとりのある住宅地は非常に魅力的と私どもも認識をし ておるところでございます。

   ところで、先ほど高杉議員の答弁の中でも申し上げましたし、今も秋田議員の質問の中にもございましたが、 構造改革特区の指定のひとつの要件としましては、地域の特性に照らしてという大基本があるわけでございまし て、特にそういう要件に照らし合わせたときに、当市の農業の現状、あるいは農地の現在の作付けなどを含める 状況、そういうものも十分に踏まえまして、特区認定要件というものについて十分に検討していくことが必要か ということがございます。さらに、東町の事例が非常に好評だということでございますので、それだけ好評の家 庭菜園つき住宅については、特区要件とあわせて、今後農業委員会、あるいは農政課関係各課と十分に研究を積 んで対処してまいりたいと考えておりますので、ご理解のほどお願い申し上げたいと思います。  以上でございます。


  (再質問) ご答弁ありがとうございました。
  いずれにしましても、今、合併を控えておりまして、この件でも都市計画の考え方を全面的に見直すというこ とで、合併の中で新しいまちづくりということを検討していくんだろうと思います。従来の線引きも、水海道は 線引きされていますが、隣の石下町には線引きがないということで、その辺の境あたりのいろいろな話が出てお りますが、今度は県が全面的に見直すということですから、3市町村合併の中での新しいまちづくりという中で、 水海道がアピールされるような形のものをどんどんと提起して言ったらいいのではないかと思うわけです。

  やはりエクスプレスが通っても、水海道まで来るというのは、何かそういった地域の魅力なりインパクトがな いと、そこを素通りするだけで、当地域がそのことで即活性化するとはなかなか考えにくいということもありま して、そういった一つの提案といいますか、今後、そういった形で取り組んでいただければよろしいのではない かと考えますので、よろしくお願いしたいと思います。答弁は結構でございます。
  ありがとうございました。


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