2010年12月
決 断

  「とかく世の中トラブル続き、四角い仁鶴が丸く納めまっせ」というテレビ番組がある。ことほど左様に世の中には、とにかく人間関係におけるトラブルが多い。ではなぜトラブルが起きるのかといえば、その多くが独善的な思い込みによって自らを正当化し、一方的にこうなるべきだと将来を予測するが、物事が思うように進まずトラブルのではないだろうか。つまり自らを客観視できない人がトラブルメーカーとなりがちであるといえよう。

  囲碁の格言に「岡目8目」というものがある。自らが碁を打っているときはなかなか分からないものだが、他人が打っているのを傍らで見ていると、当事者よりも闘いにおける損得が良く見えるということである。また「勝手読み」というものもある。これは碁に限らずあらゆる世界に共通するものだと思うが、自分がこう打つと相手はこう打つ、そうしたら自分はさらにこう打つと勝手に自分が有利なるはずだと打つ手を読んでいくものをいうのだが、現実に相手はすぐに「勝手読み」をはずした手を打ってくるのである。

  人間自分で自分を評価するとどうしても評価が甘くなるものだ。自分の評価は他人にゆだねるのが物事を客観視するという資質を育てる最良の方法であると考える。こうした意味では、選挙というものが評価を他人にゆだねる最大のイベントではなかろうか。しかし選挙に立候補するということは、たとえ地方議会の選挙であっても、いな身近でローカルな選挙であればあるほど、大変な決断を要するものである。

  合併まえの水海道市で最後の市議選で立候補し1,045票、常総市初の市議選で2度目の選挙を戦い1,165票で2度当選させていただいた。公職についた一方で、39歳のときに脱サラではじめたコンピューターソフト会社「エスカム」の経営者という2足のワラジだった。8年前に議員となったとき、会社のほうは引退しようと思ったができず、今日さらに思い責任を背負った状況にある。今回3期目の選挙は出馬を辞退し、60歳還暦という節目に2期8年間の議員生活にピリオドを打つこととした。選挙を戦い、票の重みを痛感してきた立場からは出馬をやめるというのも大変なことだ。出るのも決断、出ないのも決断、どちらも重〜い決断である。


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