平成の大合併において、地方議員と呼ばれる市町村の議員数は激減することとなった。行政組織にとって合併ほど大きな仕事はないであろう。それぞれに異なった地域の伝統を刻み引き継いできた歴史を持つ複数の地域が1つになるのであるから、そこにはそれなりのストレス、軋轢があるものである。
ところで地方議員というのはどういう人がなっているのだろう。地方自治に詳しい佐々木信夫氏によると、五欲旺盛、細心にして厚顔無恥、自己顕示欲の強い人であるという。五欲とは、食欲、睡眠欲、性欲、名誉欲、財欲である。食欲、睡眠欲は人が生きていくための必須条件であり、誰にでもあるものだ。性欲については大局的な言い方をすれば、種の保存とも言うべき本能に基ずくものであるといえよう。財欲、名誉欲についてはまさに個人差の大きいもので、自己顕示欲に加えてこうした欲望の旺盛な人が地方議員となっているケースが多いというのだ。
これらはある意味当然かも知れないが、もう1つの資質、細心にして厚顔無知というのは一見矛盾したものに考えられる。確かに議員は細心であることが求められる。一方、様々な意見の人々との付き合いが求められ、相手を無視しなければならないケースもあり、時には鈍感力が必要なこともあって、厚顔無恥という批判を甘んじて受けなければならないこともあるかもしれないと考える。
先生というのは学校の先生が一般的だが、議員も先生といわれることがある。しかしこちらのほうの先生は、「先生といわれるほどの○○でなし」というように揶揄される「先生」のようである。