2006年 3月
民主主義のコスト

  合併して常総市が誕生した。新市の議員は合併特例によって旧石下町の議員15名が加わり、総勢35名となった。 議会での正式な議論は議場という場において行われる。ここでの発言はすべて議事録に残るという、いわゆる公式の 場だ。議場での議論の前に、議員全員協議会というものがあって、前もって議論を煮詰めておこうという会議がある。 全議員と執行部(答弁側)が対峙して行われるわけだが、議員が35名、答弁側は約60名で、合わせて90数名という 膨大な人数で、新市行政のあらゆる問題について議論するわけである。

  合併とは本来、行政改革という目的で行われるものであり、2つの自治体でおのおのが負担している総務経費をはじめ、 重複した組織を整理統合することによって、全体的な合理化を図ろうとするものである。しかし、一時的なものかも 知れないが、質問する側も答弁する側も、自分の所属した旧地域のこと以外はよく分からないということで、旧水海道市・ 旧石下町ともに、それぞれ各課・各部から担当者が出席するため、100人近い人数で細かなことまで議論するという矛盾に 満ちた状況を生み出している。

  英雄待望論というものがある。すぐれた指導者の独裁が最も効果的な組織運営になるという考え方だ。「船頭多くして船 山に上る」という状況は、よく世間に見られることである。しかし、北朝鮮の例を持ち出すまでもなく、独裁にはとん でもない事態を生み出してしまうという大きなリスクがある。民主主義はコストがかかるものだ。しかし、 行政の世界でも大きなコストである人件費。中でも給料の高い人たちが100人近くも集まっているのだ。議論する 中身とコスト意識を十二分に自覚しなければならないことは言うまでもない。


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