資源小国の日本が育んできた「もったいない」という言葉が、「MOTTAINAI」とローマ字になって新聞紙上を
賑わしている。これはケニア副環境相でノーベル平和賞のワンガリ・マータイさんが来日したおり、日本の「もったい
ない」に感銘を受け、地球環境の危機に対してこの精神は非常に重要だと、その後、国連や全米記者クラブの講演など
で世界に発信していることが大きな要因のようである。
バブルの頃の日本は、長い歴史の中で育んできたこの「もったいない」という言葉を忘れ、消費が美徳であるという
時代を過ごしてきた。何でも使い捨て、捨てるという消費行動が経済の活力を生むと考えられてきた。しかし、バブル
崩壊後、ゴミ処理
の問題や有限な地球資源の活用などをめぐって価値観は大きく変化し、今日では、日本の環境省も「ゴミ減量(リデ
ュース)、資源の再利用(リユース)、再生利用(リサイクル)の3R運動」を展開する時代となった。この運動を象徴
するにふさわしい言葉がこの「もったいない」という訳である。
5月の連休は田植えの季節。アレッという間に広大な田園がグリーンのカーペットに変わる。日本では長い間、米が余っ
て減反という政策が続けられ、もう30年を超える月日が流れている。転作というが米以外の作物はなかなか難しい
水田では、額縁減反という生産調整が多く見られる。代を掻き、田んぼをすべて植えられるようにしながら額縁に
田植えをしないのは、稲刈りのときの作業のしやすさから考えられた、生産調整に協力する苦肉の策である。管理水田を
含め、こうした植えられるのに植えない水田を見たとき、アフリカの人であるマータイさんは、きっと「MOTTAIN
AI」というに違いない。