『夏の甲子園』がいつのまにか『甲子園の夏』にとってかわり、毎年夏には高校球児たちの汗と涙が、
多くの人々の感動を呼びおこす。試合に望んでの緊張したまなざし、リードされてしまう時の、もし
かして敗北かという不安と悔しさ。そして応援席で声かれるまで応援する女子生徒の涙・涙。予選を
勝ち抜いて出場するだけでも大変な甲子園。ここまで勝ち上がるまでには懸命な練習を積み重ねて来
たに違いない。夏の甲子園には、一つのことに全力を集中する姿の美しさと、胸のすくような爽やかさがある。
酒と涙と云々という歌があったが、人にとって酒と涙とはどことなく似たところがある。嬉しいとき
にも酒、悲しいときにも酒だし、涙の流れるときもまた、悲しかったり嬉しかったり。最も酒の方は、
こうした感情に関係なく「飲んで飲まれて」というやからも多いが。
人生いくつになっても自分自身のことは、まだまだ若いと思うもののようだが、だんだん年を重ね
『青春』とはほど遠い年齢になってくると、酒を飲む機会は増えるが、感動や感激によって涙を流す
ということが激減するものだ。そして、他人のことより自分のことを重要に考えるのが一般的な価値観
となり、こうした傾向がますます「感激の涙」とはほど遠い生活となる。
集中して取組む懸命な努力と対を成すのが「感激の涙」ではなかろうか。いくつになっても、そして、
どんな分野にも高校球児に負けない涙があるはずだと思うのだが・・・