1986年 5月
会  議

  サミットというのは頂上という意味だそうだが、先進七か国の首脳が日本に集まり、東京サミットと 呼ばれる首脳会議が開かれた。世はまさに高度情報化時代、さまざまな通信機器や回線によるネット ワーク化が進み、世界の裏側とも同時交信のできる今日である。しかし、いくら機器によるネットワ ークが進んだとしても、人の心のつながりはそう簡単にはできないものだ。一堂に会して話し合うこ とには限りない意義がある。

  政治の世界で出世する人は、「言語明朗にして意味不明」という資質を持たなければならないという。 言葉は明快だが意味はよくわからない方が良いらしい。こうした政治世界でのトップ会議、狐と狸に 変身することなくおおいに議論して欲しいものだ。

  協同組合もまたさまざまな会議の多い組織だ。系統三段階の上から下まで会議会議の連続である。 本来会議というのは、何をどうするかという具体的実践・行動に対する意思の統一をはかる場である はずだ。しかし、人が増え、組織が複雑になればなるほど、こうした意思の統一は難しくなる。まし てや農協系統組織、単協という体は総合農協と一つであるのに、上に行くと各事業連合体の組織で頭 がいくつもあり、まるで”やまたのおろち”のような複雑怪奇な組織である。

  現場に戻るというのが犯罪事件捜査の基本だそうだ。現場から遊離してしまった頂上会議では、お うおうにして論議が「おしゃべり」となる。


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