目には目を、歯には歯を。と言えば、やられたらやり返せという意味であると誰もが考えるに違い
ない。そして、この言葉から多くの人々がイスラムの社会を連想し、こうした論理こそが中東を世
界の火種にしていると。中東はイスラエルをとり巻くさまざまな争いから今日のイラン・イラク戦
争と、常に戦いの絶えない地域であるからだ。
しかしこの目と歯、もちろん報復について語るもの
であるが、その真意は、目をやられたら目以上の仕返しはするな、歯をやられたら歯以上の仕返し
はするなということであり、報復合戦によって、争いがエスカレートすることを戒めることが、本
来的な目的であるという。
日本には、「情けは人の為ならず」という言葉があるが、この言葉も最近誤解されつつあるようだ。
情をかけるということはその人の為にならない。世の中は厳しいということを知らしめるために、
情はかけない方が良いと解釈している人が以外に多い。人の為ならずの意味は言うまでもなく、情
はめぐりめぐって自分の所へ返ってくる。だから、人には情をかけるものだということだし、情は
人の為でなく自分の為なのだという意味である
小は個々人の争いから大は国家間の戦争までさまざまだが、とかく争いには誤解がつきものである。
言葉の解釈一つとっても、さまざまな理解(誤解)がある。ましてや生きている人間(社会)のこ
と。小さな誤解が大きな争いにならないようにと願いたい。