「ひかえおろう。この紋所が目に入らぬか!」と言うように活躍したかどうかは定かではないが、
ご当地茨城の生んだ偉大な人物水戸黄門をモデルにしたテレビ番組がまたはじまった。この番組、
全くのワンパターン番組なのに、なぜか信じられないほどの高視聴率をかせぐということで、テレ
ビ界では「オバケ番組」と呼ばれているらしい。
格さん、助さんを従え、各地を訪れる黄門様の
前には必ず悪大官や悪徳商人、やくざの類が現れ、弱き正しき者をいじめる。しかし、「正義は
必ず勝つ」のたとえ通り、水戸黄門の登場によってチャンバラ一戦の後、悪は裁かれて幕となる。
子どもでさえも「今に出るぞ!」とあの印ろうを出すしぐさをまねながら、その筋書きを予測する。
こうしたストーリーの単純さがかえって視聴者の安心感を呼び、悪が明快に裁かれることが一種
の壮快感を呼ぶのかも知れない。
今日、人々の生活は何か複雑化していないだろうか。生活を便利にしようと工夫された機器類は、
コンピューターを初め身近な電機製品でさえもその使い方を熟知できず十分に利用していないもの
が数多くあり、人の組織や制度についても、法律や税金、保険や年金のしくみなど一般の人々がそ
の複雑さの前にとまどいを感じる機会の何と多いことだろう。
本当に良いもの、本物であると言えるものは必ずシンプルなものである。マンネリには決してなら
ない単純さ、明快さこそを目指したい。座右の銘は、シンプル イズ ベスト!