今年の冬、雪があれだけ降ったはずなのに、田植期になったら水がないという。異常低温が雪どけを
遅らせていることもあるだろうし、雪というのはとけてみれば以外と水量の少ないものなのかも知れ
ない。そして田植えを迎えまさに“我田引水”を地で行くような水くみ合戦となった。
田植えに水がなければ話にならない。排水溝にポンプを設置して少しでも水を入れようと、昼夜を
問わずそのエンジンの音が響く。眠たい目をこすりながら、水の流れる音を聞いていると、ふと、水
不足、食糧不足に悩むアフリカの人々を想い起こす。水はまさに生命の基なのだ。広大な砂漠の中、
水を求めて井戸を掘り、そして井戸を掘ることがまた砂漠を拡大するというジレンマの中に彼らはい
る。そこには将来の展望など何もない。ただ明日生き延びるために水を求めているのみだ。
資源小国日本。原料を輸入して製品を輸出する加工貿易の国日本。というのが小学校で習った自分
たちの国である。しかし、わずか平均1ヘクタールの耕地面積でも、その高い土地生産性によって人々
のくらしを守り、また、高度経済成長を担った工業の飛躍的な発展を支える影の力として豊富な水資源
があったことは言うまでもない。水資源大国日本である。
当たり前に不断にあるものを資源とは言わないのであろうが、なくなってみれば大変なことになる
自然の恵みに、感謝しなければならないと考えさせられる昨今である。