1984年 2月
朝にショパンを聞く

  「朝」というのは本来、すがすがしい気分で迎えられるものだ。夜つゆに洗われしっとりと澄み きった大気。思わず深呼吸し、その大気によって肉体までもが洗われるようなさわやかな気分に なる。しかし、毎日の生活の中での朝は、どうしたわけかあまりさわやかな思い出がない。出勤 時間ギリギリに起きて飯をかっこみ、職場にかけこんでやっと一服。そんな時間に追われ続けの 朝や、「もう酒やめた」とか何とか言って、頭をかきまわす二日酔の思い出。ETC・・・。

  日本人は良く働く。そしていつも忙しいとは外国の人からよく言われることだが、時間に追わ れた生活を続けていると、生活のゆとりとは何だろうなんて考えることが、めんどうくさくなっ てくる。たまにはゆっくりと、誰にも平等にあるはずの二十四時間という一日の過ごし方を考え てみたい。

  一点突破主義という考え方がある。例えば子供の頃の勉強でも、一番にが手の科目を集中的に 勉強してにが手意識を克服すると、そうした経験が自信となって全体の成績が向上するという考 え方である。問題がいくつもあって、どれから手をつけたらよいかわからない場合には有効な方 法論だ。

  朝は一日のスタートだ。そして最も忙しい時間でもある。この朝に、例えば十分の時間をとっ て、タベのカラオケ演歌を忘れてクラシックを聴くなどというのはどうだろう。朝にモーツアル トやショパンを聴く。生活のゆとりを考える一点突破になるのではないだろうか・・・。


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