1983年12月
不毛の酒飲み

  “宴会族”と呼ばれる人たちの活躍する季節となった。用意された忘年会、新年会だけで はあきたらず、二次会、三次会と流れ流れて午前様。失敗したと思いながらの二日酔、よ くあることだ。酒が体に合っているというのか、いくらでも飲めるといった“飲んべえ” もいるが、やはり飲んべえというのは、酒を飲むこと自体よりも、酒飲む雰囲気の好きな ハシゴ族を言うのであろう。このハシゴ族、雰囲気に引かれて繰り出すのだから、一人で 飲んでもしようがない。いきおい他人をさそい込むことになる。

  最近日本人の生活実態調査というものが新聞に掲載されていたが、この中の酒飲みにつ いての報告では、ほとんどの人が職場の同僚と飲むといったふうに、いつも気心の知れた 仲間うちで飲んでいるようだ。酒飲めば無礼講で、飲んだ機会にストレスを発散し、普段 の交流をより深めようということだろう。

  社会が多様化してきているとよく言われているが、日本人の場合、まだまだ仲間間のつ き合いといった点からなかなか脱皮できないようだ。さまざまなグループを作り、何回も 忘年会を行っているが、同じようなメンバーの場合も少なくない。こうした場合の二次会、 三次会、往々にして不毛の酒飲みになりがちだ。

  男のつき合いはなんとやら……。と言って、宴会をはじめる前から二次会のことを心配 したり、胃腸薬を用意しての忘年会等、省みてみる宴会のなんと多いことだろう。


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