1982年 8月
農業[食糧]問題

  今年の米価は、米審において生産者側の委員が総辞職するなど、波乱ぶくみの展開となった。これは、一般労働者 の毎年の賃上げに比較し、なぜ農家の賃金である米価だけが何年も据え置かれているのかという生産者側の不満。 加えて、要求米価が一万八千二百五十一円、四・三七%という一ケタの低い水準であることでもあり、ぜひとも要 求を実現したいという強い決意の現われであると思う。

  よく言われていることだが、日本の食糧自給率というのは、穀物ベースで見た場合、三三%という低さである。ほ かの先進工業国でも例を見ないほど極端で、一日、三食のうち二食を外国に依存しているわけだ。品目で見ると、穀 物で自給しているのは米ぐらいのもので、小麦・大豆・飼料穀物等は惨たんたるものである。その米にしても、二年 続きの不作で、古米を放出しながら食いつないでいるという実態である。

  米価の問題に代表される日本農業の問題というものは、もちろん生産者にとって死活問題だが、視点を変えて食糧問 題ということになれば、これはむしろ消費者の問題ではなかろうかと思う。財政危機を理由に農業に対する圧力が強 まり、貿易摩擦による農産物輸入ワクの拡大等によって、日本の農業はまさに瀕死の状態にある。生産者も消費者も、 国家的・国民的立場に立って、農業(食糧)の問題を考えるべき時期ではなかろうか。金を出せば食糧が買えるとい う保障はどこにもないのだから………。


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