水虫というのは、全くやっかいなものだ。寒い間はおとなしくしているのだが、暖かくなると、我が物顔で
足の指や裏側にへばりついてかきまわる。ロケットが宇宙に飛んで行く時代に、どうしてこんなものがはび
こっているのか不思議に思うのだが、「水虫の特効薬を発明すれば、ノーベル賞ものだ。」と、いわれてい
るぐらいこの病気はなおりにくいもののようだ。
ところがときどき、「なあに、あんなものは簡単だ。」と
言うモノシリ博士に出合う。彼らによると、「酢につければ一発だ。」とか「素足で熱い砂の上を歩けばな
おる。」等々、処方箋はいろいろである。しかし、今だに水虫がなくなった話は聞かないし、そう簡単にい
かないのが世の常である。
人間というのは、とかく物事に飽きやすい。飽きるということで新しい世界に飛躍する場合もあるが、一つ
のことを持続できないために失敗した例は枚挙にいとまがない。持続するというのは、人間の重要な資質だ
と考えさせられる。水虫退治の最大の困難さは、どんな薬や処方箋であってもそれを完治するまで、なかな
か持続できないということのようだ。
決意したら持続することだ。三日もたてば色あせることの多い日々を過ごしがちだが、どんな小さなことで
も一つの方向を定め、一喜一憂することなく実践して行く。こうした積み重ねによる大きな収穫を(水虫の
ないきれいな足を)喜べるように頑張りたいと思うのだが……。