1982年 6月
継続は力なり

  水虫というのは、全くやっかいなものだ。寒い間はおとなしくしているのだが、暖かくなると、我が物顔で 足の指や裏側にへばりついてかきまわる。ロケットが宇宙に飛んで行く時代に、どうしてこんなものがはび こっているのか不思議に思うのだが、「水虫の特効薬を発明すれば、ノーベル賞ものだ。」と、いわれてい るぐらいこの病気はなおりにくいもののようだ。

  ところがときどき、「なあに、あんなものは簡単だ。」と 言うモノシリ博士に出合う。彼らによると、「酢につければ一発だ。」とか「素足で熱い砂の上を歩けばな おる。」等々、処方箋はいろいろである。しかし、今だに水虫がなくなった話は聞かないし、そう簡単にい かないのが世の常である。

  人間というのは、とかく物事に飽きやすい。飽きるということで新しい世界に飛躍する場合もあるが、一つ のことを持続できないために失敗した例は枚挙にいとまがない。持続するというのは、人間の重要な資質だ と考えさせられる。水虫退治の最大の困難さは、どんな薬や処方箋であってもそれを完治するまで、なかな か持続できないということのようだ。

  決意したら持続することだ。三日もたてば色あせることの多い日々を過ごしがちだが、どんな小さなことで も一つの方向を定め、一喜一憂することなく実践して行く。こうした積み重ねによる大きな収穫を(水虫の ないきれいな足を)喜べるように頑張りたいと思うのだが……。


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