1982年 2月
女性管理職

  当農協にも、はじめて女性の管理職が、支所長として生まれた。これは合併十三年間を含め、戦後、当地域に農協が 生まれてから、はじめての出来事だ。 職員が百五十人おり、そのうち三分の一が女性で、管理職は全体で三十人もいるのだから、そのうちの一人ぐらいは 女性であっても何の不思議もない。しかし、はじめてということで、一つの話題を呼んだ。

  「戦後強くなったものは、女と靴下だ。」と一時期よく言われたものだ。しかし、圧倒的に強くなったと誰もが認め る靴下と違って、「強くなった女」というものは、あまり実態がなかったように思う。確かに、女性の職場進出によ って、一定の社会的地位の向上がはかられたと思うが、現実は依然として男中心の社会である。ときどき男女間の不 平等を問題にした争いが見られるが、一般社会の中では、争いにならず、女性が妥協してしまうことの方が多いので はなかろうか。

  人間の感情というものは、極めて環境と習慣に支配されやすいものだ。本来的な意味で、当然疑問視してもよい事柄 でも、習慣の中に埋もれてしまうことが多い。たとえば、共働きの夫婦でさえも、男が家事をしていれば、男にも、 女にも、なんとなくしっくりこない感情が残る。

  差別を廃し、男女間の正当な意味での社会的分担のあり方と、本来の力をそれぞれの個性が発揮できる環境をみんな の力で、つくって行きたいものだと思う。


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