1981年10月
変化を読む

  「女心と秋の空」とは良く言われるが、あれは「男心と秋の空」が本来であるという議論がある。とにかく秋の空は 変わりやすいという事実があって、誰もが認めるところなのだが、男から見れば女心が、女から見れば男心が、とか く変わりやすいものとして悩まされた経験の持ち主が多いのであろう。とにかく人間というものは、男である女であ るにかかわりなく、一時の感情にすべてを支配されやすく、また時が経てば、変化を余儀なくされてしまうもののようだ。

  最近、金融機関における犯罪として、電算機を悪用したものが目立っている。これらの犯罪の特徴的なことは、すぐ バレルということにあると思う。にもかかわらず、この種の犯罪が続発しているのは、一つには情報処理の極端なス ピード化にもかかわらず、そのチェック機能の遅れという点が指摘されるが、その前に、「後々のことは考えず、と にかくその場さえうまくやれば…」という、盲目的行動にその特徴を見いだすことができると思う。一事の盲目的な 行動故に、みじめな結末が到来している事件は多い。

  犯罪というのは例として極端に過ぎるが、我々の日常でも、「後悔先に立たず」ということが何と多いことであろう。 現代は何もかもがスピード化した時代であり、まさにめまぐるしい変化の中に生きている我々だ。こうした変化に対 応し、確固とした指針を持って生きられる「知恵」を持ちたいものである。


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