1978年12月
協同の精神

  「春男の翔んだ空」という映画が十一月二十五日、当市の市民会館で上映された。知恵おくれの子供たちの教育に生涯をささげた野杉春男という人をモデルにした映画である。知恵おくれの子供であっても人間である限り、人間として生きる権利がある。 人間らしく生きるためには人間として守るルールがあることを野杉先生は懸命に子供たちに教えた。

  「もともと地上に道はない みんなが歩けば道ができる」とはロジンの言葉だが、人間が生きるということは“協同”ということではなかろうか。つまり野杉先生が知恵おくれの子供たちに教えた、人間として守るべきルールとは“協同”であるといえよう。

  映画の中で子供たちの運動会の場面があった。どこを走っていいか分からない子供もいる。うまく走れない子が転んだ時、先を走っていた子供がもどってその子を起こし、いっしょに走っていく姿を見て、野杉先生「知恵おくれの子供達に学べ」と叫んだ。 人を押しのけて生きていかねばならない競争社会に生きている我々だが、人間として“協同の精神”がいかに大切なものであるかを教えられた映画であった。

  昨今、農協と組合員が離れてきているということが、とかくとりざたされている。農協は今、改めて協同活動強化運動というものを提唱しているが、本気になって協同のあり方を人間として生きる原点にたち返り、この運動を展開していきたいものだ。


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