今年の夏はいつになく暑い夏だ。気象庁の話でも、七月の気温は三十度以上の日が二十五日もあり、十何年ぶりとか。
しかし暑いのは気候ばかりではない。このところ毎日のように新聞をにぎわしている円高ドル安。この外国為替レートも日本をそうとうに暑くしているのではなかろうか。
つい最近の新聞では一ドルがとうとう百九十円を割って、百八十九円という新高値を記録したらしい。一年半前には一ドルが二百九十円台だったのにくらべれば、円はこの一年半の間に一・五倍になったわけだ。
単純に考えるならば、日本の商品を輸出した場合、外国での値段は一・五倍となり、外国の商品を輸入した場合は三分の二の値段になるわけだ。もちろん経済は生きているのだから、さまざまな要因があり、値段はきまるのだろうけれども、庶民の感覚としては輸入しているものが、もう少し値下げしてもいいのではと考えさせられる。
石油を初めとして、日本はさまざまの物質を輸入している。しかし値下げの話を聞くのは、畜産の飼料ぐらいなものだろう。この円高にともなう膨大な差益はどこに行ってしまうのだろうか。と同時に、これだけ円高になってもまだアメリカの貿易収支は、特に対日本との関係で赤字が増えているという。
日本の大企業の市場競争力の強さをまざまざと感じさせられ、巨大な経済の流れの中で、単なる浮草でないように心がけねばならないと、日々考えさせられる。