お喋りな人と無口な人がいる。人と人とは会話によって意思の疎通を図るものだが、言葉が洪水のように口から流れ、 他人の話も途中で奪い、自分の話ばかりする人がいるかと思えば、全く口を開かず、意見を求められても中々話が出来 ない人もいる。
「目は口ほどにものを言う」といわれ、人は他人の表情や態度によって、どのようなことが言いたいのかある程度推察する ことが出来る。ところがこの点でも人様々で、感情がすぐに顔や態度に出る人もいれば、全くのポ−カ−フェイスで、 何を考えているのかさっぱり分からない。顔や態度では理解不能の人もいる。
人は言葉によって考えその意思を伝えるものだが、言葉には話す言葉と書く言葉があるように、人によって、話しながら 考える人と、書くことによって考える人がいるようだ。話す言葉と書く言葉には決定的な違いがある。話す場合には、 その場の雰囲気で内容を補足することも出来るし、言葉だけでなく、表情や態度によって言葉をより豊かに表現できる。 書く場合には、その書かれた文章のみが勝負である。よく「文書による回答を」というように文書には大きな重みがある。
人には様々な考えや意見があるので、意見が違うということはいたしかたないことだが、日常の暮らしの中でのトラブルの 原因というのは、お互いの思い込みや、感情の行き違いによって起こることがほとんどだと思う。つまらないトラブルを避 けるために、たまには文章を書くことによってじっくりと考えてみるのも良いことかも知れないし、話すことより聞くこと を大切にしたいものである。雄弁は銀。沈黙は金。