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株式会社エスカム 代表 秋田 茂の私的なホームページ

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「 ハングリーな精神 」  1984年12月


 体、ハングリー、ツキ、臆病。これらが、今世間をにぎわしているグリコ、森永事件等を追い、 マスコミの最前線で活躍している事件記者たちに要求される、四つの資質であるという。連日 帰宅は午前様で、朝六時には出勤するような激務にたえる強靭な体力。現実に満足しないハン グリーな精神、そしてツキを呼び、常に特ダネを他社にだし抜かれないかという警戒をおこた らないガラスの神経。事件記者というのはこうした資質を持った人間でなければ務まらない職業なのであろう。

  就職するなら大企業か親方日の丸。仕事と家庭を比較すれば家庭を大切にしたいというマイホ ーム主義が若い世代をとりまき、世はまさに安定志向時代といえる。高度経済成長によって成し 遂げられた一定の物質的豊かさと、変化のスピードに対する不安感の反動がこうした安定指向の 原因となったのかも知れない。そして今日、安定成長時代と呼ばれ、一方では価値観の多様化時 代といわれながら、こうした多様化がややもすると机上の空論となり、むしろ没個性社会を招来 するのではないかという不安さえある。

  安定を求めるのも人間の本質だろうが、厳しい競争社会の中に身を投じ、闘争心を燃やし、活力 のある生活を求めるのもまた人間の本質であるに違いない。別に事件記者でなくとも、時代が安 定指向であればある程、個性豊かに、いつまでも若く、活力のある生活であるために、「ハング リーな精神」を持ち続けたいものである。

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