家族というのは社会を構成する人々の一つの生活単位だが、核家族化の進行と共稼ぎが相まって、 人間の本来的な生活の場を壊しつつあるのではないだろうかと、時々考えさせられる。食べるもの はインスタントものが増え、着ているものでも手づくりのものなど、ほとんど見られなくなった昨 今である。特に家族に幼児をかかえている場合、多くのシワよせが子供達にふりかかってしまうの ではないだろうか。母親としての女性が職場を持つことについて考えてみたい。
日本の雇用形態というのは、よく言われているように終身雇用制、年功序列賃金だ。このしくみでは、 いったん職場を離れてしまうと復帰するのが非常に困難でパート等で再就職し、身分保証のない低賃 金に抑圧されてしまうのが現実である。
西ドイツでは、特に女性の間で二人で一人という雇用形態が普及していると聞く。この制度は本人の 希望によって労働時間も半分、賃金も半分で、一日を二人で分け合って仕事をするというものだ。も ちろん正職員という身分保証があり、退職金や年金等も半人分の権利を持っている。こうした形態は、 特に幼児をかかえている母親に圧倒的人気があるということだ。
日本においても生活の場としての家庭を考えてみた時、もっといろいろな形の自由選択のできる社会 的制度を考えてみたいものだ。社会の豊かさの発展が人々の生活を、人間らしい暮らし方を追求する 方向でありたいと願いたい。